プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人打線を活性化させた男、
2番打者・藤村大介の真の価値とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/08/23 10:30
打率は2割5分に満たない藤村だが、自慢の俊足を生かして盗塁数は17でリーグトップを走る(8月22日現在)。二塁の守備でも好守が光る
2番に復帰した藤村は巨人打線に化学反応をもたらした。
「藤村が2番に入ると、送りバントだけでなくエンドラン、バスターと攻撃のバリエーションは大きく広がる。しかも失敗してもゲッツーになることが少ないので、藤村が塁に残って、次には盗塁という選択肢が生まれる。そういう波状的な作戦が組めるようになったことが、打線の活性化につながっているということです」
そういう機を計っていた指揮官が、藤村を2番に戻したのは7月31日のヤクルト戦からだった。この試合で4打数2安打2得点をマークした藤村は、7連勝中には25打数11安打の4割4分をマーク。盗塁も5つ記録して、その存在感をアピールした。
大リーグのイチローがシーズン200安打にこだわるように、打者にとっては「ヒットを打つ」ということは絶対的な価値である。ただ、野球というチームスポーツの側面から考えると、その中で2番打者だけは、たとえ打率2割5分前後でヒットはそれほど打てなくても、粘れて、送れて、走れるならば、ただ打てるだけの選手より価値があると評価される特別なポジションなのである。
言うならば打線が化学反応を起こすための触媒として、2番打者はいるわけだ。
だから……2番を固定できたチームは強い。