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“守備の華”遊撃手で最高の選手は?
20年間の数字から見えた、ある真実。
text by
田端到Itaru Tabata
photograph byShigeki Yamamoto/Hideki Sugiyama/Koji Asakura
posted2010/01/22 10:30
「平成の牛若丸」「小坂ゾーン」と称される守備の超人・小坂。
「平成の牛若丸」「小坂ゾーン」など、小坂の守備の超人ぶりを表現する言葉は多いが、それが記録でも証明されている。
かつて城島健司は「小坂さんがいると、毎試合ヒットを1本損する」と、あきらめたように語っていた。
全盛期の小坂のプレーを球場で堪能できた人たちは幸せだと思う。
どんな記録を参考にしたとしても……まさに20年にひとり(本当は30年と言いたいが)の守備の達人と言っていいだろう。
ちなみにレンジファクターが1違うということは、1試合あたりアウトにする数が1違う。すなわち年間144試合なら144アウト違うことを意味する。
打率3割の打者と、打率2割の打者では、年間500打数とすると、ヒット50本の違いしかない。しかし、一流の遊撃手と三流の遊撃手では、年間でアウトにする数が100~150も違うのである。
守備の下手な3割打者と、守備の上手い2割打者にはどちらに価値があるだろうか。
今後、大いに期待したい“華のある遊撃手”大引啓次。
最後に今後の飛躍が期待される、若手の名前を挙げておこう。
'07年、'09年のRF1位、大引啓次(オリックス)だ。
ひとめ見るだけで俊敏さがわかる、軽やかな足の運びとフィールディング。堅実さという点では危なっかしさも残るが、華のあるショートストップだと思う。
大引の課題は打力だろう。いまひとつチャンスに弱く、パンチ力にも欠けるため、まだ完全レギュラー定着とまではいかず、それが守備の評価も妨げている。
大引が不動の遊撃手として年間フル出場したとき、守備の名手としての評価もついてくるはずである。