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“守備の華”遊撃手で最高の選手は?
20年間の数字から見えた、ある真実。
text by
田端到Itaru Tabata
photograph byShigeki Yamamoto/Hideki Sugiyama/Koji Asakura
posted2010/01/22 10:30
何とかのひとつ覚えみたいに、レンジファクターによる守備評価を続けてきたが、まだ大事なテーマをやっていなかった。
近年のプロ野球において、もっとも上手い遊撃手は誰か――。
守備の華とも言える遊撃手のポジション。その歴代の名手たちを、記録から検証してみよう。今回も1991年以降のデータを紹介する。
まずセ・リーグ。各年のレンジファクター(RF)1位の遊撃手を一覧にまとめた。
●セ・リーグ 年度別レンジファクター1位の遊撃手
※ 簡易RF=(刺殺+補殺)÷試合数
※ 赤字はRF5.0以上、失策5以下
年度 | 選手名 | 試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 簡易RF |
---|---|---|---|---|---|---|
1991 | 池山隆寛(ヤクルト) | 132 | 270 | 412 | 4 | 5.17 |
1992 | 野村謙二郎(広島) | 130 | 252 | 398 | 23 | 5.00 |
1993 | 進藤達哉(横浜) | 123 | 183 | 382 | 12 | 4.59 |
1994 | 野村謙二郎(広島) | 130 | 231 | 413 | 12 | 4.95 |
1995 | 野村謙二郎(広島) | 131 | 213 | 401 | 14 | 4.69 |
1996 | 久慈照嘉(阪神) | 130 | 189 | 434 | 18 | 4.79 |
1997 | 宮本慎也(ヤクルト) | 115 | 185 | 356 | 4 | 4.70 |
1998 | 宮本慎也(ヤクルト) | 114 | 197 | 357 | 6 | 4.86 |
1999 | 宮本慎也(ヤクルト) | 131 | 215 | 409 | 9 | 4.76 |
2000 | 東出輝裕(広島) | 116 | 217 | 356 | 25 | 4.94 |
2001 | 宮本慎也(ヤクルト) | 125 | 198 | 425 | 9 | 4.98 |
2002 | 井端弘和(中日) | 134 | 237 | 387 | 6 | 4.66 |
2003 | シーツ(広島) | 136 | 242 | 412 | 14 | 4.81 |
2004 | 井端弘和(中日) | 138 | 213 | 472 | 4 | 4.96 |
2005 | 宮本慎也(ヤクルト) | 135 | 211 | 447 | 3 | 4.87 |
2006 | 井端弘和(中日) | 146 | 242 | 475 | 4 | 4.91 |
2007 | 梵英心(広島) | 135 | 231 | 439 | 13 | 4.96 |
2008 | 鳥谷敬(阪神) | 144 | 263 | 476 | 15 | 5.13 |
2009 | 坂本勇人 (巨人) | 141 | 244 | 437 | 19 | 4.83 |
※ 赤字はRF5.0以上、失策5以下
'90年代前半には野村謙二郎(広島)が3度の1位に輝き、'90年代後半から'00年代にかけては宮本慎也(ヤクルト)が5度、井端弘和(中日)も3度の1位を取っている。
この中で名手という印象があまり強くないのは、今季から広島の監督として指揮を執る野村謙二郎だろうか。
広島の内野手は本拠地が土のグラウンドのため、どうしても人工芝球場に比べてエラーが多めになってしまい、失策数を重視すると守備評価が低くなりがちだ。
これは'00年1位の東出輝裕も同じで、東出は一時その失策の多さから、守備に難点のある遊撃手の代表のように言われていた。もちろんエラーが多いのは誉められたことではないし、最多失策の選手を名手と呼ぶのはおかしいかも知れない。しかし、「エラーは多いけど打球をアウトにすることが多い遊撃手」は「エラーは少ないけど打球をアウトにすることも少ない遊撃手」より優秀だと思う。