イニエスタという異才の存在が、マンＵにとってはやりにくいはず。

――今、いろいろと名前が挙がりましたが、他の注目選手というと？

杉山　当然イニエスタでしょ。もちろんヤヤ・トゥーレだってエトーだって大事だし、大事じゃない選手なんて1人もいないんだけど、相手側にしてみるとあんなに嫌な選手はいない。どこにでも顔を出すし、本当に嫌なところでボールを受けて、チャンスを作ったり、ひょいひょいって感じでドリブルで抜いてったりする。

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田邊　別に体が大きいわけでも、特にスピードがあるわけでもないだけに、抜かれた方のショックは大きいですよね。

杉山　メッシもそうだけど、こういうドリブラーはイングランドのサッカー界で一番少なかったタイプだしね。ドリブラーといっても、せいぜいジョー・コールレベルどまりで、一流となるとスタンリー・マシューズあたりまでさかのぼらないと見つからない。

田邊　あとはジョージ・ベストになっちゃいますもんね。彼は北アイルランド出身でしたけど。実際にイングランドで取材していても、数年前までは戦術ならイタリア、テクニックならスペインが上を行っているという見方をしている人がかなりいましたから。ちなみに杉山さんは、マンＵ側だと誰に注目してますか？

杉山　個人的にはパク・チソンだよね。ああいう選手がチームにいるのといないのとじゃ大分違う。体の強さやダッシュの迫力とかは、ルーニーとかテベスと比べても遜色ないし、前目で使われてもしっかり結果を出してくる。

田邊　最近でいうとCLのアーセナル戦はもちろんですけど、その直前のプレミアのミドルズブラ戦でもゴールを決めたりしてますからね。

杉山　うん。それでいて守備も当然やる。先発するのか途中で使われるのかはわからないけど、絶対にCL決勝という檜舞台には立ってほしいよね。

パク・チソンをどう使うか？　4－2－3－1か4－3－3か？

田邊　フレッチャーの代役として使うこともできますしね。これはファーガソンが4－2－3－1でいくのか、あるいは最近使い出した4－3－3でいくのかといったあたりにも左右されてくるんでしょうけど。

杉山　中盤の攻防もサイドの攻防と同じくらい見どころだよね。ここでお互いにどうゲームを作るか。

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田邊　マンＵ側にすると、イニエスタやシャビが受けたり出したりする楔のパスをどうカットするか。

杉山　そう。いくらメッシが怖いといったって、彼はエトーだとかアンリだとかイニエスタと絡むからこそ生きてくる選手であって、孤立してたらそんなに怖がる必要はない。ドリブルで相手を抜いていってシュートなんてことになったら凄いけど、2～3人、立て続けにきれいに抜けるのは、1試合の中でも多くて5回ぐらいしかない。マンＵ側としては、中盤とか、中盤から前目にいくところでの連携をどうカットするかだよね。

田邊　バルサは本当に丁寧につないで組み立てていきますから、ある種マンＵにとってはパスコースを先読みしやすいところもある。それを踏まえて、バルサ側はさらに駆け引き――取れそうで実は取れないぎりぎりの距離にパスを出してマンＵの選手を誘き出そうとするんでしょうけど、ヒディンクがランパードにやらせたみたいに、インターセプトからカウンターを狙う方法はありますね。

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