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故障者続出で不調の巨人だが……。
大田、藤村に未来の常勝軍団を見た!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/06/02 10:30
5月25日、26日のソフトバンク戦、2試合連続の3安打猛打賞で存在感を見せた藤村大介。近い将来、ジャイアンツ打線不動の1番打者になる素質を秘めている
「期待が大きいだけに、色々と話したいことも」(原監督)
「スタメンオーダーを見れば、坂本、ラミレス、長野以外は、主力選手ではありません。この若いチームが、阿部の復帰とともにどう成長していくのか。期待もあり、楽しみでもあり、ジレンマもあり、不安もあります。(中略)/(対楽天)2戦目の勝利は、大田が決勝タイムリーを放ちました。期待が大きいだけに、色々と話したいことはありますが、プロ入り初ヒットが決勝のタイムリー。センター前へのポテンヒットであり、本人も本意ではないでしょうが、いいスタートだと思います」
(原辰徳監督オフィシャルサイト『HARA SPIRIT』5/20より)
原監督のブログからの引用である。新生ジャイアンツのキーパーソンと言ってもいい大田泰示について「色々と話したいことはある」と注文をつけているのは、主にバッティングに対してだろう。
「シンプル・イズ・ベスト」で開眼した大田の打撃術。
二軍の開幕戦である巨人対日本ハムを、3月19日に川崎市のジャイアンツ球場で見た。
このときの大田のバッティングは次のようなものである。
ややオープンスタンスで構え、早い段階で前足を小さく引き、ステップも小さく出す。上半身はグリップを耳の辺りで構え、これを徐々に下げて肩辺りで止めてから打ちに行く。体全体はスッと立っている。
現在、どうなっているのかというと、体全体を低くして構え、早い段階で前足を引き、ここでしばし静止して、ステップを出すタイミングを計っている。大きく変わったのは上体を低くするところだが、重要なのは引いた足を静止して、ステップするタイミングを計る、という部分である。
東海大相模時代から今春までの大田は、有り余るパワーをどう爆発させていいのかわからない状態だった。タイミングの取り方に迷いがあったのだ。迷いを脱するきっかけは「シンプル・イズ・ベスト」という考え方。T-岡田(オリックス)のノーステップ、中田翔(日本ハム)の無反動打法と同じように、上・下半身の動きを抑えることだけに専念した。