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故障者続出で不調の巨人だが……。
大田、藤村に未来の常勝軍団を見た!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/06/02 10:30
5月25日、26日のソフトバンク戦、2試合連続の3安打猛打賞で存在感を見せた藤村大介。近い将来、ジャイアンツ打線不動の1番打者になる素質を秘めている
まず、次の選手たちの故障履歴を見てもらいたい。
*阿部慎之助 4/ 5、右ふくらはぎ肉離れで離脱→5/17復帰
*山口鉄也 4/23、左胸の張りで登録抹消→5/17復帰
*高橋由伸 4/29、左肋骨の骨折で登録抹消
*亀井義行 5/16、右手薬指骨折で登録抹消
*小笠原道大 5/14、広島戦の左ふくらはぎ死球で登録抹消
5人の他にも'09年の新人王、松本哲也(外野手)が開幕から不振を極め依然として未出場(5月30日現在)、脇谷亮太は打率1割台の底でのたうち回っている。
私が5月25、26日に見たソフトバンク戦のスターティングメンバーは次の通りである。
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※名前横の成績は昨年のもの |
実績のある野手は8人のうち3~6番の4人だけ、あとの4人は一軍半クラスと言ってもいい。そういう顔ぶれのせいか25、26日とも1得点しか挙げられず、連敗を喫している。その貧打ぶりは、20日以降、6試合の成績を見ると浮き彫りになってくる。
5/20 ○日本ハム 3-1 ●巨人 6安打、3四死球
5/21 ●日本ハム 3-4 ○巨人 9安打、3四死球
5/22 ○オリックス 4-1 ●巨人 6安打、4四死球
5/23 ○オリックス 4-1 ●巨人 7安打、2四球
5/25 ○ソフトバンク 2-1 ●巨人 8安打、3四球
5/26 ○ソフトバンク 2-1 ●巨人 6安打、1四球
空中戦を売りにしていた頃の迫力はない。
以前は低迷の兆しが見えるとトレード、FA、外国人(他球団の選手含む)補強に走り、育成が忘れられた。お金をかけた割に強いチームが作れなかったことは歴史的事実で、育成をなおざりにした代償は人気低迷にもつながった。
原辰徳監督が2期目の監督に就任した'06年以降、それまでにFAやトレードなどで獲得した小笠原、谷たちに若手を交えた絶妙のバランスで'07~'09年までリーグ3連覇を果たし('07年はプレーオフで敗退、中日が日本シリーズに出場)、巨人は新たな地平を切り開いたわけだが、小笠原37歳、谷佳知38歳、ラミレス36歳、高橋由36歳たちベテランに衰えが見え始めた今、その地平に暗雲が垂れ込むようになった。
チーム内に漂う低迷の気配を打ち破り、ファンの支持を勝ち取るウルトラCはあるのか、原監督には今、重大な課題が突きつけられている。