SCORE CARDBACK NUMBER
"過剰"で何か欠けている愛すべき男たちの物語。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTamon Matsuzono
posted2004/07/29 05:49
紅茶の入ったティーカップをフォークボールの挟み方で持ち上げた村田兆治は、著者に向かって言った。「力を入れて取ってみろ」。言われた通りにするが、ティーカップはピクリともしない。
「村田さんの著書を編集していたときでした。他のマスコミ人にも必ずやってみせるそうなんですが、『僕は口下手だから言葉では伝えられない』と言って、そういうことをやるんですよ。そこに何とも言えない哀愁があるんです」
無口で不器用。しかし不思議と人間を惹きつける魅力を持つ男。村田には今の日本人の多くが失ってしまった空気が満ちている。