酒の肴に野球の記録BACK NUMBER

100マイルでも変化球でもない「巨人エースの技」菅野智之、千賀滉大と山本由伸は防御率0点台、パパ大谷キラーの今永昇太…メジャー日本人先発が奮投 

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

PROFILE

photograph byScott Taetsch,Getty Images/Nanae Suzuki

posted2025/04/23 17:00

100マイルでも変化球でもない「巨人エースの技」菅野智之、千賀滉大と山本由伸は防御率0点台、パパ大谷キラーの今永昇太…メジャー日本人先発が奮投<Number Web> photograph by Scott Taetsch,Getty Images/Nanae Suzuki

菅野智之と山本由伸。千賀滉大や今永昇太を含めて日本人先発投手がメジャーの舞台で輝いている

 相変わらず高回転の速球は威力があるが、制球力がやや落ちてきた感がある。今永とともにローテを支えてきたスティールがトミー・ジョン手術。今永もエース格として投手陣を引っ張ることになる。

 なお21世紀以降、規定投球回数以上で防御率0点台だった投手はいない。千賀、山本ともにいずれ落ちてくるのは確実だが、それでもトップクラスの成績を残す期待は高い。日本人投手では、2020年、カブスのダルビッシュが防御率2.01で2位になったのが最高だ。初の「最優秀防御率」のタイトルに期待したい。

「父親リスト」後の大谷の成績が…

 その他、ラーズ・ヌートバーを含む日本人メジャーリーガーについても見ていこう。

ADVERTISEMENT

〈大谷翔平/ドジャース〉
2025年22試87打23安6本8点5盗14球26振 率.264 OPS.872

今週 4試15打2安1本2点1盗 3球8振 率.133
4月15日ロッキーズ戦 4打0安0本0点1盗 1球2振
4月16日ロッキーズ戦 5打2安1本2点0盗 0球2振
4月20日レンジャーズ戦 3打0安0本0点0盗 1球1振
4月22日カブス戦4打0安0本0点0盗 1球3振

 17日から2試合は「父親リスト」入り。女児のパパとなったレンジャーズ戦は力んだか3タコ。今永との対決となった22日のカブス戦でも四球の出塁1だけで、今永とのMLB通算対戦成績は10打数0安打に。パパになっての初安打・本塁打はまだ出ていない。どこかで火が付くのだろうが……。

〈鈴木誠也/カブス〉
2025年22試87打24安6本20点1盗12球28振 率.276 OPS.894

今週 4試17打3安2本3点0盗 0球3振 率.176
4月16日パドレス戦 4打1安0本0点0盗 0球0振
4月18日Dバックス戦 5打1安1本1点0盗 0球1振
4月19日Dバックス戦 4打1安1本2点0盗 0球1振
4月20日Dバックス戦 4打0安0本0点0盗 0球1振
4月22日ドジャース戦5打2安0本2点0盗 1球2振
 
 鈴木も本塁打こそ出ているが、22試合で28三振は多すぎか。ただ打球速度は速いので今後、数字は上向くだろう。ドジャース戦の第1打席では2点タイムリー二塁打を放った。
 
〈ラーズ・ヌートバー/カージナルス〉
2025年23試89打22安4本13点3盗18球17振 率.247 OPS.796

7試23打3安1本4点0盗 5球5振 率.130
4月15日アストロズ戦 3打1安0本0点0盗 1球1振
4月16日アストロズ戦 3打1安1本3点0盗 2球0振
4月17日メッツ戦 4打0安0本0点0盗 0球1振
4月18日メッツ戦 1打0安0本0点0盗 0球0振
4月19日メッツ戦 3打0安0本0点0盗 1球1振
4月20日メッツ戦 4打1安0本1点0盗 1球1振
4月21日ブレーブス戦 5打0安0本0点0盗 0球1振
4月22日ブレーブス戦 5打2安1本3点1盗 1球1振
 
 チームは13連戦の最中。今週は当たりが止まっていたが22日のブレーブス戦で16日以来の本塁打。四球が三振よりも多く、出塁率は高い。

朗希、雄星も好投はしているものの

 ここからは前述した4人以外の投手の成績。

〈佐々木朗希/ドジャース〉
2025年5試0勝1敗0S 19.2回13安2本16球16振 責7率3.20

4月19日レンジャーズ戦6回2安1本3球4振 責2(78-49)

 4月に入って4回、5回、6回とイニング数を増やし、19日のレンジャーズ戦は勝ち星こそ逸したがQS(6回以上自責点3以下)を記録。この日のフォーシームのストライク率は76.7%、スプリッターは60%とようやく安定感が出た。ただ佐々木の球種はフォーシーム、スプリッター、スライダーの3種しかない。他の投手は最低でも5種類の「使えるボール」を持っている。そこが今後の課題か。

〈菊池雄星/エンゼルス〉
2025年 5試0勝3敗0S 29.1回23安4本14球28振 責11率3.38

4月15日レンジャーズ戦6回3安0本2球6振 責1(79-51)●
4月20日ジャイアンツ戦5.1回5安0本4球6振 責0(102-64)

 責任投球回数をクリアする力投が続いている。投球内容は良くなっているが勝ち星に結びつかない。我慢の時ではあろう。

〈前田健太/タイガース〉
2025年5試0勝0敗0S6回9安1本5球6振 責7率10.50

4月14日ブルワーズ戦2回1安0本1球2振 責1(40-25)
4月18日ロイヤルズ戦0.1回2安0本1球0振 責1(19-11)

 5登板のうち、無失点で降りた試合が1つだけ。今のところ戦力として厳しい状況が続いている。

〈松井裕樹/パドレス〉
9試0勝1敗0S10回7安1本4球16振 責2率1.80

4月15日カブス戦1回1安0本0球2振 責0(15-10)
4月18日アストロズ戦1回1安0本1球1振 責1(20-13)
4月21日タイガース戦2回2安0本1球1振 責0(27-19)

 依然として負け試合、大差がついた試合での登板が続く。21日のタイガース戦は最長の2回を投げて無失点。リーグNo.1クラスの優秀な救援陣で、ステイタスを上げるべく奮闘している。

吉田にトレードの噂…藤浪が苦しんでいる

 松井と同じくパドレスのダルビッシュ有、レッドソックスの吉田正尚は依然IL(負傷者リスト)。吉田にトレードの噂がまた出ている。ナショナルズ傘下AAAロチェスターの小笠原慎之介は、好投が続いていたがわき腹を痛め17日に7日間のIL入り。

 マイナー契約フィリーズ傘下AAAリーハイバレーの青柳晃洋は、15日(2回)、18日(1回)、19日(0.1回)と救援登板しいずれも無失点。通算防御率は1.29となった。マイナー契約フィリーズ傘下AAAリーハイバレーの青柳晃洋は、15日(2回)、18日(1回)、19日(0.1回)と救援登板しいずれも無失点。通算防御率は1.29となった。同じくマイナー契約のマリナーズ傘下AAAタコマの藤浪晋太郎は18日の救援登板も1回1失点、22日は1死を取る間に3失点で防御率は13.50と依然厳しい。

〈メジャー特集:つづく〉

関連記事

BACK 1 2 3
#菅野智之
#ボルティモア・オリオールズ
#山本由伸
#ロサンゼルス・ドジャース
#千賀滉大
#今永昇太
#ラーズ・ヌートバー
#大谷翔平
#鈴木誠也
#佐々木朗希
#菊池雄星
#前田健太
#松井裕樹
#ダルビッシュ有
#吉田正尚
#小笠原慎之介
#青柳晃洋
#藤浪晋太郎
#読売ジャイアンツ

MLBの前後の記事