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ホンダ、ヤマハに復調の気配…試行錯誤の末たどり着いた「エンジンの遅さ」とは? カタールGP4位のザルコは「着実に前進している」
posted2025/04/17 11:03

4戦を終え、ドゥカテイ勢以外では最高位となるランク6位につけるザルコ
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遠藤智Satoshi Endo
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Satoshi Endo
マルク・マルケスを筆頭に絶好調のドゥカティ勢は、4戦を終えてスプリント、決勝とすべてのレースで表彰台を独占している。この記録をドゥカティがどこまで伸ばすのか興味はつきない。その一方、数年来低迷を続けてきた日本のメーカーが今季は着実にリザルトを残しており、ホンダ、ヤマハが表彰台に立つ日も近いことを感じさせている。
5メーカーが参加するMotoGPクラスで、ホンダはコンストラクターズポイント49で2位につける。以下、3位アプリリア(43)、4位KTM(42)、5位ヤマハ(42)と、4メーカーが激しく争っている状態だ。ドゥカティは148ポイントと独走状態。まさに1強4弱といってもいい状態だ。
ホンダの復活を支えているのは、サテライトチームのヨハン・ザルコである。昨年の鈴鹿8耐で優勝した日本でもお馴染みのライダーである。7月で35歳のMotoGPクラス最年長。この数年、コンストラクターズで最下位に沈んでいたホンダを引き上げた功績は大きく、彼の走りと頑張りが、ワークスチームのジョアン・ミル(転倒は多いが随所で速さを見せる)とルカ・マリーニ(4戦連続トップ10前後でフィニッシュ)の刺激になっていることは間違いない。
ホンダがパワーを落とした理由
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今季、ホンダがリザルトを残しはじめた要因のひとつは、ホンダライダーたちが異口同音に語る「エンジンの遅さ」にあり、コースサイドで見ているとその変化が手に取るようにわかる。
この数年、ホンダRC213Vはありあまるパワーをうまくコントロールできなかった。そのためスピニングがひどく、それを抑えるため制御をかけ過ぎることになり、結果的に加速につながらなかった。その現象が今年はなくなった。おそらく、パワーを落としたことで適切な制御が可能になってスムーズな加速が実現、それがラップタイムに反映されたのだと思われる。そうやって「乗りやすさ」が実現した反面、トップスピードは落ちることになり、ライダーは次の段階として「もっと速いエンジンを」を要求するようになっているのだ。