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ホンダ、ヤマハに復調の気配…試行錯誤の末たどり着いた「エンジンの遅さ」とは? カタールGP4位のザルコは「着実に前進している」
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遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2025/04/17 11:03

4戦を終え、ドゥカテイ勢以外では最高位となるランク6位につけるザルコ
2025年型RC213Vは基本的に24年型と変わらないが、車体やエンジン、制御などの「細かい改良の積み重ねが結果につながった」と言われている。実際、ザルコはこのマシンの潜在能力の高さを何度もコメントしているし、それがやっと結果につながるようになった。また、ホンダのエアロパーツはドゥカティを模倣している印象が強かったが、最近は個性を感じさせる。ザルコ自身もRC213Vのパフォーマンスをうまく引き出せるようになってきたのではないだろうか。
カタールGPで4位と表彰台まであと一歩に迫ったザルコは、現状をこう語る。
「表彰台を争えるポジションで走れたし、バイクのフィーリングも本当に最高だった。今大会はチームと非常に良い仕事ができた。これは昨年から積み重ねてきた取り組みの成果。今はバイクをコントロールできていると感じるし、それがパフォーマンスの向上につながっている。着実に前進していることが何よりも重要だし、この勢いをキープしていきたい」
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この言葉通り、シーズン中にホンダが表彰台に立つ日はそう遠くはないように思うし、強いホンダ復活を期待してしまう。そして、ドゥカティで破竹の快進撃を続ける32歳のマルケスが、いつか訪れるキャリアの終盤をホンダで戦ってほしいと願うのは僕だけではないと思う。
ヤマハが取り戻したハンドリングの良さ
コンストラクターズ5位のヤマハも、第4戦カタールGPでファビオ・クアルタラロが注目を集めた。予選ではクアルタラロがタイトル争いを繰り広げた2022年シーズン以来、3年ぶりのフロントローとなる3番手。その日のスプリントではドゥカティ勢が上位4位までを独占し、クアルタラロがそれに続いて5位でフィニッシュ。久しぶりの快走に笑顔が弾けた。翌日の決勝レースは序盤の混戦を抜け出せず7位に終わり、悔しそうだった。
クアルタラロは21年にフランス人として初めて最高峰クラスでタイトルを獲得。22年は連覇を果たせなかったが、ドゥカティのフランチェスコ・バニャイアとタイトル争いを繰り広げた。しかし、23年以降のヤマハは急激に競争力を失っていく。その要因はドゥカティを筆頭にアプリリア、KTM勢が空力面で進化したからだというのが一般的な見方だが、実はヤマハもまた、エンジンのパワーアップが足を引っ張ったのではないかと思う。