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小椋藍にMotoGPは合っている! ドゥカティ以外でランク最上位につける小椋藍が開幕3戦で見せた快走の理由…本人は「まだまだ全然です」
posted2025/04/05 11:04

開幕から3戦を戦い、ランキング6位につける小椋
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遠藤智Satoshi Endo
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Satoshi Endo
シーズン序盤の3戦が終わった。開幕前の予想通り、マルケス兄弟を中心にドゥカティ勢が上位を席巻しているが、その一方で注目すべき走りを見せているのが小椋藍である。
昨季Moto2チャンピオンとなり、今季はアプリリアのサテライトチーム「トラックハウス」からMotoGPに参戦。開幕戦のタイGPでは、スプリントで4位、決勝レースで5位と素晴らしいリザルトを残した。第2戦アルゼンチンGPでは転倒した影響もあり予選15位。短期決戦のスプリントではさすがに厳しく、ポジションを挽回できないまま結果は15位。しかし、翌日の決勝レースでは、素晴らしい追い上げを見せて8位でフィニッシュした。このレースはECU(電子制御)の規則違反で失格となったが、小椋の快走が色褪せることはない。
第3戦アメリカズGPでは、不安定な天候の中で苦戦して予選18位。アルゼンチン以上に厳しいレースが予想されたが、短期決戦のスプリントでは再び素晴らしい追い上げを見せて9位でフィニッシュ。ポイント獲得は9位までという厳しい条件下で1点を獲得した。決勝レースはスタートと前後してウエットからドライへと変わるドタバタのレースとなるも、冷静沈着な走りで順位を上げて9位でチェッカーを受けた。
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3戦6レースを終え、小椋はタイGPのスプリント4位を最上位とし、6レース中4レースでポイント獲得。ルーキーながら総合6位につけている。上位5台のドゥカティ勢以外では最上位であり、開幕前の予想を上回るリザルトを残している。
ライバルが語る小椋の長所
ルーキーの小椋がどうしてここまで活躍できるのか。アプリリアのワークスチームには昨季の王者で怪我で欠場中のホルヘ・マルティンと、MotoGPで3勝を挙げているマルコ・ベゼッキの2人が所属する。そして小椋のチームメイトはMoto2時代にライバルだったラウル・フェルナンデス。当時からラウルの速さは圧倒的で、チャンピオンにはならなかったがMotoGPで活躍が期待される逸材だった。
サテライトチームのルーキーたる小椋が彼らと同じ土俵で戦い、陣営トップにいるのは凄いことである。マルク・マルケスやファビオ・クアルタラロのようにデビューから圧倒的な速さを見せた選手たちの華やかさには及ばないが、小椋がいきなりここまでの結果を残すとは誰も思わなかったに違いない。
昨季、小椋とタイトルを争ったアロン・カネットは、小椋について「彼の長所は安定性。反面、彼は速さがない」と分析する。