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“青マルケス”ことアレックスが苦節94戦目の初勝利! ヤマハのクアルタラロも560日ぶり表彰台で「ドゥカティ1強」に変化の兆し
posted2025/04/30 17:06
スペインGPでMotoGPクラス初勝利を遂げたアレックス・マルケス(前)と、久々に2位表彰台を獲得したファビオ・クアルタラロ
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遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Getty Images
ヨーロッパラウンドの初戦となった第5戦スペインGP(ヘレス・サーキット)は、予選、スプリント、決勝レースのどれもが「喜び」に満ちあふれる結果となった。
土曜日に行われた予選では、2021年のチャンピオン、ヤマハのファビオ・クアルタラロが3年ぶりとなるポールポジションを獲得。クアルタラロはもちろんのこと、この数年苦戦が続いていたヤマハのスタッフも喜びを爆発させていた。
その後に行われたスプリントではPPスタートのクアルタラロがホールショットを奪い、すでに今季3勝と圧倒的な強さを発揮しているドゥカティのマルク・マルケスとバトルを繰り広げた。しかし、クアルタラロはマルクに抜かれた直後に痛恨の転倒を喫しリタイア。悔しい結末だったが、復活をアピールしたクアルタラロとヤマハに大きな拍手が送られた。
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その後は地元ファンの期待に応えたマルクが余裕の独走勝利。コース上で行われた表彰式は、マルクに7回目のタイトル獲得を期待する地元ファンの歓声で異様な盛り上がりを見せた。
94戦目の初優勝
日曜日の決勝レースでは、マルクがトップグループに加わりながらも転倒(再スタートして12位)。その後は、予選4位、スプリントで2位になっていたマルクの実弟アレックスが、兄のチームメートのフランチェスコ・バニャイア、トップを走るクアルタラロを抜いて、MotoGPクラス94戦目にして念願の初優勝を果たした。
Moto3、Moto2でタイトルを獲得してMotoGPにステップアップ。だがこれまでは表彰台に立っても兄の陰に隠れがちな存在だったアレックスが、マルクの転倒があったにせよ、ともに世界チャンピオン経験者のバニャイアとクアルタラロを抜いて、ついに脚光を浴びた。
兄弟チャンピオン、兄弟表彰台獲得など、マルクとともに多くの記録を樹立してきたアレックスは、史上初の「MotoGPクラスで兄弟揃っての優勝」という快挙を達成。そしてランキングでも首位に浮上した。大会開幕前の4月23日に29歳の誕生日を迎えたばかりのアレックスは、マルクをはじめとする家族、そして多くの人々の盛大な祝福に嬉し涙を流すことになった。

