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「プロ野球監督の年俸低い説」巨人阿部監督、日本ハム新庄監督は1億5000万円だが…ドジャース・ロバーツ監督“12億円”に「12球団合計でも負ける衝撃」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2025/04/07 11:07

4月2日のブレーブス戦、サヨナラホームランを放った大谷翔平を祝福するロバーツ監督(52歳)
いま、アメリカでは一流のコーチの年俸の「大台」は1000万ドル=およそ15億円になっている。この天井を破ったコーチは手腕、実績が認められたことになる(と同時にとてつもないプレッシャーにさらされるのだが)。
では、様々な競技で最も年俸が高い監督を見ていくことにしよう。
NFL(アメリカンフットボール)
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アンディ・リード(カンザスシティ・チーフス)2000万ドル……スーパーボウル優勝3回
NBA(バスケットボール)
スティーブ・カー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)1750万ドル……選手としてNBA優勝5回、ウォーリアーズのヘッドコーチとして優勝4回
カレッジフットボール
カービィ・スマート(ジョージア大)1320万ドル……全国優勝2回
ちなみに、ジョージア州のブライアン・ケンプ知事の年収は18万ドル。州知事と、ジョージア大のヘッドコーチの年収は、ひとケタ違うどころか、ふたケタ違う。いかにカレッジフットボールのコーチの存在が大きいものかが分かると思う。
カレッジ・バスケットボール
ビル・セルフ(カンザス大)865万3800ドル……NCAAトーナメント優勝2回
NHL(アイスホッケー)
マイク・サリバン(ピッツバーグ・ペンギンズ)550万ドル……スタンレーカップ優勝2回
1000万ドルの天井を突破しているのはNFLとNBA、そしてカレッジフットボールのヘッドコーチで、メジャーリーグ、カレッジバスケ、NHLは年俸で見ればひとつランクが下がる。
「810万ドル」が基準になる
これは個人的な印象だが、指導者の年俸額はアメリカでの競技そのものの人気を反映しているように思える(NBAは世界的にポピュラーになったこともビジネスチャンスを広げている)。
その意味で、ロバーツ監督が野球界に果たしている意味は大きい。今後は、ロバーツ監督の「810万ドル」がエリート監督の給与の基準となり、ドジャースを倒すチームが現れたとしたら……その球団を率いる監督は大台を突破する可能性が出てくる。
かつてはポストシーズンの投手起用に疑問符がついたロバーツ監督だったが(エースのクレイトン・カーショーをフル回転させ、必ずしもそれが上手く行かなかった時もあった)、今や名将として様々な影響を及ぼすことになっているのだ。
