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スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「これが人生のピークになるかも…」東大“史上最速ランナー”秋吉拓真が箱根駅伝で感じた胸の内…「究極の文武両道」選手の“気になる進路”は?
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/04 11:03

7区を走った明治学院大の栗原舜から襷を受ける東大3年の秋吉拓真。途中までは区間新記録をうかがうペースで突っ込み、好走を見せた
しかし、秋吉は東京大学が予選会を突破しない限り、箱根駅伝を再び走ることはできない。現状、学生連合チームに参加できる選手は「箱根駅伝を走ったことがない選手に限る」というルールがあるからだ。
「正直、もう一度走れたらな、という思いはあります。もう一度、8区を走れたら遊行寺の坂にもうまく対処できるかと思いますしね。ただし、一度しか出られないことも含めて、学生連合チームだと思います。東大でも、箱根を走りたいと思うようになった後輩もいますし、いろいろな選手が経験できるのが学生連合チームの良さだと感じます」
大学3年生の冬といえば、就職活動の時期でもある。秋吉も進路について悩んでいる。
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「大学院で勉強を続けるというのが、選択肢の一つとしてあります。そしてありがたいことに、実業団のチームからお声がけいただいています。もうひとつ、大学院で学びながら実業団で走るという選択肢も出てきまして……。いずれにしても、春までには進路を決めなければいけません」
箱根駅伝を走ったことで選択肢は広がったが、より複雑化したともいえる。21歳にとっては、難しい選択だ。
「箱根を目指す冒険」が終わり…今後は?
春になれば4年生。強豪校のトップランナーと関東インカレなどの大会で勝負したい、そのために強くなりたいと秋吉は考えている。
駅伝も終わりではない。毎年11月に行われる全日本大学駅伝に、日本学連選抜チームのメンバーとして出場する機会は残されている。
「基本的には各地区の予選会に出場した学校から選出されるとは思うんですが、1万mのタイムを残せば、チャンスはあるかもしれません。それに、箱根駅伝の予選会も走れますから」
もう、二度と箱根駅伝は走れないかもしれない。それでも、今度の予選会は秋吉にとっては晴れ舞台になるはずだ。
「予選会では、留学生の先頭集団についていくつもりです」
秋吉拓真の挑戦は、まだまだ続く。
