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「これが人生のピークになるかも…」東大“史上最速ランナー”秋吉拓真が箱根駅伝で感じた胸の内…「究極の文武両道」選手の“気になる進路”は?
posted2025/02/04 11:03

7区を走った明治学院大の栗原舜から襷を受ける東大3年の秋吉拓真。途中までは区間新記録をうかがうペースで突っ込み、好走を見せた
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph by
JIJI PRESS
今年も大きな盛り上がりを生んだ年始の箱根駅伝。優勝争いとは違ったところでファンの注目を集めたのが、関東学生連合チームの8区を担った秋吉拓真だ。いわずとしれた日本最難関の大学である東大所属ながら、一時は通過タイムでトップを走るなど、鮮烈な印象を残した。そんな秋吉が夢の舞台に至るまでには、どんな紆余曲折があったのだろうか。《NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む》
任されたのは8区…「区間新を狙えるかも」
学生連合チームの「サバイバルレース」を勝ち抜いた東京大学の秋吉拓真は、箱根駅伝の8区を走ることになった。
「8区を担当することになり、いろいろなデータを調べると、遊行寺の坂という難所はあるものの、平地にならしてみると区間記録の1kmあたりの平均ペースが、2分58秒くらいなんです。『あれ、ひょっとしてこれなら区間新を狙えるかも』と思って」
8区の区間記録は、2019年に東海大の小松陽平がマークした1時間03分49秒。秋吉の「ターゲット」が定まった。
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2025年1月2日、箱根駅伝の号砲が鳴る。
秋吉は昼すぎに関東学連が用意した平塚の宿に向かい、付き添い役の先輩と一緒に10kmほどをジョグした。
「12月上旬に学生連合チームの16kmタイムトライアルがあった時に、その前日にそれなりに走ったんですよ。その時は疲労も残らず、感触も良かったので同じパターンで最後の調整をしました。それにしても、憧れの舞台を走るのにまったく緊張はなかったです」
レース当日は午前5時半に起床、6時にバイキング形式の食事をとる。秋吉がたすきを受けるのは午前10時過ぎの見込みで、2時間ほど前に中継所に到着した。
大きいテントに8区のランナーがいる。付き添いの人数も多く、通常のレースとは趣が異なる。その場の雰囲気を表現するとしたら「緊張感」という言葉がふさわしかった。
そしていよいよ、夢舞台が現実となる。