- #1
- #2
ボクシングPRESSBACK NUMBER
「韓国でも井上尚弥の記事ばかりだった…」逃げなかったキム・イェジュンを母国メディアはどう報じた? “かませ犬”が韓国ボクシングに投じた一石
text by

キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by東京スポーツ新聞社
posted2025/01/28 11:03

井上尚弥の一夜明け会見にサプライズで登場したキム・イェジュン
キムは韓国でもほとんど知られていない無名選手で、国民の関心は決して高くなかった。とはいえ、最上級のボクサーである井上とのビッグマッチは少なからず母国メディアの注目を集め、試合はtvN SPORTS(有料)で生中継された。
試合前はネットニュースにも異例の対決を報じる記事があふれた。
『勝率5.6% キム・イェジュン プロボクシング歴代最高の“異変”に挑戦』(MKスポーツ)
『19年ぶりに韓国のボクシングチャンプが誕生するか…キム・イェジュン “最強”井上尚弥を相手にタイトル戦』(イーデイリー)
ADVERTISEMENT
前述の「イーデイリー」は『4階級を制覇し、派手な戦績も井上尚弥を輝かせる。28戦無敗。そのうち25回KO。まさに世界最強という称号が似合うボクサー』と“モンスター”の功績を伝えつつ、『絶対的な劣勢が予想されるが、キム・イェジュンは異変を狙う覚悟だ』と期待を煽った。
さらに同じ記事では『キム・イェジュンが井上を倒せば、2004年にWBC世界フェザー級チャンピオンに輝いたチ・インジン(池仁珍)以来、19年ぶりの韓国人王者が誕生する』と、韓国ボクシングの歴史を盛り込み、歴史的勝利に一縷の望みをかける思いが感じられた。
元IBF・WBA世界スーパーミドル級王者のパク・チョンパル(朴鐘八)もYouTubeで「これは神様がくれた一世一代のチャンス。勝率5%と言われているみたいだが、1%でも勝つ可能性があればボクシングはそれが希望になる。恐れる必要はない。堂々と戦えばいい」と後輩にエールを送っていた。
「井上尚弥は巨大な壁だった」
ただ、やはり敗戦後の報道は、井上の強さを称えるものばかりだった。
『あまりにも高かった“モンスターの壁”…18年ぶりに世界チャンピオンに挑戦したキム・イェジュン、尚弥に4回KO敗』と見出しを打った「イーデイリー」は『始まる前からある程度、結果が予想された試合。世界11位のキム・イェジュンは25戦21勝(13KO)2敗2分だが、相手があまりにも強すぎた』とし、「ニュース1」も『キム・イェジュンにとってはチャンピオンになれる絶好のチャンスだったが、井上は巨大な壁だった』と報じている。