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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「施設育ちの少年が井上尚弥と戦うなんて…」密着カメラマンが知るキム・イェジュン壮絶ボクサー人生「ひとりで生きるためにボクシングを始めた」
posted2025/01/28 11:04
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
激闘から一夜明けた1月25日、キム・イェジュンは横浜の大橋ジムで行われた井上尚弥の会見に現れた。
試合後、敗者が勝者のもとを訪れるのは珍しいが、「チャンピオンにあいさつをしたかった」と本人たっての希望だった。笑顔で井上と話すこうした行動も、日本のボクシングファンには好印象を与えたはずだが、試合を終えた直後の夜とは雰囲気が違った。
「敗れたショックが大きかったのでしょう。いつになくトーンダウンしていました。格上とはいえ、勝つためにやってきたわけですから」
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落胆するキムの様子を語るのは、近くでカメラを回し続けているディレクターのムン・ジュニョン氏だ。
キムに密着してきたカメラマン
プロデューサーであるパク・ジョンボム氏がキムのドキュメンタリー映画を企画し、2017年から密着。2019年からはムン氏も加わって2人で撮影を続けている。全3部作を10年計画で進めるプロジェクトで、上映は未定だが、韓国メディアが数少ない中、キムが人生を懸けたビッグマッチにも密着していた。
「井上選手に敗れて気持ちが落ちているとはいえ、彼との話の中で最も安心したことは、手術した部分が幸いにもひどくならなかったこと。もともと、右ヒジと右肩腱板を負傷していて、手術も3回しているのでまた痛めていないかと心配していたのですが、安静にしていれば回復見込みが立ちました。身体に問題がなければ、また試合に向けて練習を始める気持ちになりますからね」
気持ちが晴れるまではもう少しの時間が必要だが、再起に向けて準備を進めていくことは確かなのだろう。