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「疲れない!」「それだとブラック企業です」棚橋弘至が新日本社長として東京ドーム大会で狙う次世代ブレイク「3年後理論」と「引退ロード」の野心
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/01/03 11:03
棚橋のキャッチフレーズの一つ「疲れない」が、まさか社長業では「ブラック企業」に見えるとは想定外であったという
棚橋は「掲げたことを有言実行したまで」と言い切る。東京ドーム大会にしてはカードが弱いとの声も挙がるが、彼は怖れを知らない人でもある。
ブレイクへの「3年後理論」
「自分の方針として若手の抜擢と言ってきましたから。海野、辻といった選手たちは20代でコロナ禍にぶつかって、海外で頑張ってきて本来であればもっと早く名前が売れていい実力を持っている。僕は“3年後理論”と呼んでいるんですけど、人気や動員は3年後までディレイする。僕が初めて(IWGPヘビー級の)チャンピオンになったのは2006年で、そこから徐々に(団体の人気が)上がってきたと感じたのが2009年でしたから。
コロナ禍の間に陣容がそろって、選手の実力も上がってきて迎えるのが今回の東京ドーム。世に自分たちのプロレスを届けたいっていう欲求を、爆発させるような大会になるんじゃないかって僕は期待しています」
イメージしないものは実現できないから
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棚橋は新日本恒例となっている年明けの東京ドーム大会において、10回以上メーンの大役を果たしてきた。最初が2005年、U-30無差別級王者として臨んだ中邑真輔とのタイトルマッチ。当時まだ28歳であり、現在27歳の海野、31歳の辻ともそう変わらない。
「中邑真輔と、お互い完成しきっていない状態で、あのメーンでぶつかって。あのときの(カードの)冒険感に比べれば、今回なんて全然心配いらないですよ。ただ僕は東京ドームのメーンで最後に入場してきて、闘いに勝って『愛してま~す!』とやるまでをずっとイメージして日々を過ごしていました。イメージしないものは実現できないじゃないですか。
令和闘魂三銃士(海野、辻、成田蓮)に上村(優也)、大岩(陵平)、藤田(晃生)と陣容が揃ってきたなかで、どこに差が出てくるかと言ったら野心。自分がどうプロレスを動かして、どうチャンピオンになって、どう盛り上げていきたいかっていう本当に細かい部分まで、思いを巡らしている選手がこれから上がってくると思います」
舞台は用意しても、そこからトップの座をつかめるかどうかはプロレスラー次第。熾烈なサバイバルレースに大きな期待の目を向けている。