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「ドン底に突き落とされて、号泣して…」悲願の白いベルト戴冠…スターライト・キッドが語る“9年間”の思い「プロレスラー、人生、ドラマですね」
posted2025/01/05 17:42
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「長かったあ」
12月29日、両国国技館で念願の白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)を手にしたスターライト・キッドは嬉しさをそう表現した。ライバル・なつぽいが持つ白いベルトに挑んだキッドは白虎「ホワイトタイガー」となって観客の前に姿を現した。そしてタイガースープレックスでなつぽいをフォールした。
デビューから9年、ついに手にした白いベルト
なつぽいはキッドにとって特別なライバルだった。「互いにやられたらやり返して、どんだけボロボロになっても、感情、気持ちで戦う」。2人にとっての8度目のシングルマッチで、両国にたどり着いた。
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「両国まで来たね、という思い。でも私、絶対負けないから。私たちのベストバウトを叩き出したうえで、私がワンダー・オブ・スターダム奪ってみせます。チャンピオンになる」
キッドがそう「自分に期待して」挑んだ試合だった。
「なつぽいからまた(ハイスピードの時と同じように)奪っちゃいました。たどり着くまでずいぶん時間がかかっちゃいました。このベルトを一番輝かせたい。他のチャンピオンにも、男子にも負けない試合をする」
2015年のデビューから「9年もかかってしまった」というのが素直な実感だった。「終わったー。やっと取れたー。1回、余韻に浸らせてください、っていうモードに入っている。首と腰と背中ともろもろ、腕も痛い」。そう言ってキッドはマスクの下から笑顔をのぞかせた。
キッドを成長させた「苦しくて辛い時間」
戴冠の翌日、キッドに話を聞いた。キッドは白いミニのスーツ姿だった。
「長いと思っちゃいました。すぐにベルトを巻ける人も多いでしょう。途中からスターダムに来た人は早い。全部のキャリアで考えたら同じような人もいるかもしれないけど。私はスターダムでデビューして9年の生え抜きですから、ずっとこのベルトを見てきた。ここまでたどり着くのが本当に長かったなあ。野望はいろいろ言ってきましたけど、ここからが本番。私の腕が試される」