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「おまえはおシャカだ」長与千種が“じつは落ちこぼれ”だった過去…“まるでストリートファイト”のライオネス飛鳥戦「おまえらおもしろいな」
text by

堀江ガンツGantz Horie
photograph by東京スポーツ新聞社
posted2024/12/01 17:02

クラッシュ・ギャルズの伝説は、長与千種とライオネス飛鳥の“ストリートファイト”から始まった
俊国さん派と国松さん派で派閥が分かれた
玉袋 それも悪循環っちゃ悪循環だね。でも負けじ魂は芽生えたんじゃないですか?
長与 それはすごかったです。興行はAチームが松永国松さん担当で、Bチームが俊国さんだったんですよ。その二人がもうバチバチになるんで、私たちも「負けんな、負けんな」で煽られるんです。
ガンツ ダハハハハ! 同じ団体なんだけど、AとBで熾烈なライバル心が生まれて(笑)。
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長与 だから、1年後にひとつに戻ったときも、俊国さん派と国松さん派でハッキリ派閥が分かれて、ひどかったですもん。
ガンツ 全女はいちいち対立するんですね(笑)。
玉袋 兄弟とか親族同士でな。もう大塚家具どころじゃないんだよ!
長与 でも、全女の場合は会長が絶対的なトップというのは揺るがなかったんで、どんなにケンカしても大丈夫だったんですよ。
玉袋 なるほどなあ。
ライオネス飛鳥との“ストリートファイト”
ガンツ それで長与さんは、クラッシュ結成前に「もうホントに辞めよう」って思ってたんですよね?
長与 はい。もう自分がここにいる意味はないんじゃないかなって思ってたんですよ。「おまえはおシャカだ」ってしょっちゅう言われたし、先輩からは空手の技を使うのが禁じられてたし。どうしようかと思ってたとき、(全日本シングル王座の)チャンピオンだったライオネス飛鳥に挑戦できることになって。「これが会社からの最後の花道なのかな」って思ったんです。だから、どうせ最後なら、禁じ手もなく、自分の好きなように思い切りやりたいと思って。彼女に試合前、「私はこれで辞めるつもりだ。負けようが何しようが構わない、とにかく手加減なしで思い切りやりたい」ということを言ったときに、彼女も「自分もそうしたい」と言ってきたんですよ。彼女は入った時から将来を有望視されてたエリートだったんですけど。
ガンツ ジャッキー佐藤2世ですもんね。
長与 だから、なんでもそつなくできたんですけど、なんでもできるからこそ、彼女は彼女なりに悩みもあって。
玉袋 ジャンボ鶴田みてえなもんだろうな。体力と才能に恵まれすぎて、煮え切らないっていうね。
長与 それでなんだか二人の思いが合致して。好き勝手に殴り合い、蹴り合い、手加減なしでやりあって。試合としては成立してますけど、ある意味ストリートファイトですよね。それが松永兄弟の目に止まってしまって。
玉袋 辞めるつもりでムチャクチャやった試合が認められたわけか。
長与 松永兄弟は、そういうの嫌いじゃないんですよね(笑)。