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「入んねーんだよ!」松永兄弟はお金を踏んだ…全女一族の“豪快すぎるカネ遣い”「(長与千種の引退で)ありがとう。今日は2億儲かった」
posted2024/12/01 17:03
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
東京スポーツ新聞社
Netflixのドラマ『極悪女王』のヒットによって、今ふたたび、ダンプ松本やクラッシュ・ギャルズが活躍した80年代の女子プロレスが注目を集めている。芸人・玉袋筋太郎、構成作家の椎名基樹、プロレス格闘技ライターの堀江ガンツの3人が、当時の女子プロレスラーや関係者にインタビューした『玉袋筋太郎の全女極悪列伝』(白夜書房)より、2015年に収録した長与千種のインタビューを抜粋して紹介する。長与の証言で振り返る、一時代を築いた全日本女子プロレスとは一体何だったのか――。《全4回の最終回》
玉袋 そっから火がつきだしてからは、お客さんも急激に増えていって、それは凄かったんじゃないですか?
長与 凄かったです。でも、ホントにあれよあれよという感じだったので、あんまり憶えてないんですよ。憶えてるのは、どこに行ってもお客さんがいっぱいになって。松永兄弟は「チケット」のことを「テケツ」って言ってたんですけど、テケツの売り場を通って控え室に行くと、もう段ボール箱からお金が溢れてるんです。それを足で踏んで蓋を閉めようとして、「入んねーんだよ!」とか言ってるんです(笑)。
玉袋 お金を足で踏むっていうね。見ちゃいけないものを見たみたいな(笑)。
長与 それが日常的な行為になりましたからね。だって物販だけでも4トントラックで来るんですもん。いま、いろんな方に「こんなグッズ出てたんですよ、買ったんです」って言われるんですけど全然知らなくて(笑)。
玉袋 ダハハハハ! 自分の知らない長与千種グッズが大量に出回ってて(笑)。
長与 「え、これ何? エプロンまで?」みたいな(笑)。
長与が明かす“当時の給与事情”
ガンツ でも当時はグッズのお金なんか、選手には全然入ってこないという(笑)。いまみたいに、ちゃんとロイヤリティ契約してたらとんでもないことになってたんでしょうね。
玉袋 大変だよ~。でも給料ってのは、クラッシュで人気が出て一気に上がったんですか?
長与 上がっていきましたね。でも1試合の単価はいまのレスラーたちより安いんです。
玉袋 えぇ~っ!? そうなんだ!
長与 年間300試合以上やってたんで、年収にするとまとまった額になるんですけど、1試合の単価は、いまの中堅ぐらいのキャリアの人たちと同じくらいかな?
玉袋 それぐらいのギャラで、馬車馬のように働いてたわけか。
長与 私が初めて日本武道館でやったとき、試合後、珍しく会長が控え室に来られて、「長与ー!」って言うんですよ。私の試合について何か言ってくれるのかと思ったら、「物販で1500万売れたからなー! ありがとなー」って言われて、「……あ、よかったですねー!」みたいな(笑)。