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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「スポーツ推薦ゼロ」「クラファンで合宿資金調達」“陸の王者”慶應がなぜ? 31年ぶり箱根駅伝へ本気で予選会突破をめざすわけ…「今年が戦力最大値」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2024/10/17 11:00
名門・慶應義塾大が30年以上箱根から遠ざかり、クラウドファンディングで資金を捻出していると聞くと意外に思う人もいるかもしれない
正直、予選会突破の確率は50%もないけれど
昨年の箱根の予選会は22位だったが、データと順位をシンクロさせると、「妥当な結果」と森内はいう。選手の力を数値化し、チームを俯瞰して見ることができているので、チームの本当の力を理解していると言える。それゆえに、選手たちが見ている景色とはちょっと異なるようだ。
「うちは希望的観測というか、ポジティブな見方をする人が多いけど、僕は『もうちょっと冷静に行こうよ』という話をするんです。でも、そういうと怒られちゃうんですよ(苦笑)。正直なところ突破する確率は50%もないのは、みんな分かっていると思います。その中で自分も田島もなんとか今年はという思いでいますし、それをチーム全体で共有しているので、ひとつでも上の順位にいけるようにしたいです」
データを踏まえつつ、10月19日の予選会に向けて、少しでも上積みできるように練習を継続している。
各自が役割を果たしていけば
だが、第101回大会の予選会は相当に厳しい。
昨年は100回の記念大会で特別に13枠が設けられたが、今回は10枠に戻った。昨年の10位の東海大のタイムは10時間37分58秒で、平均すると63分48秒弱。慶應のタイムは10時間49分20秒で、一人1分以上の差があった。今年の出場校は、中央大や東海大、日体大、立教大など強豪揃いで、昨年10位のタイムでは天候にもよるが予選会突破は難しい状況だ。
田島主将の表情も厳しい。
「強豪校による枠潰しみたいなところがありますし、ハードルは高いですが、まず僕と木村がフリーで62分台を出してタイムを稼ぐ。Bチームは集団を崩さずに走り切ろうと話をしているので、各自の役割を果たすことが重要です。ひとりひとりが1個前、1秒1秒のタイムを削っていけばおのずと順位はついてくるのかなと思います」