“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「もうサイドバックだけじゃ厳しい…」森保ジャパン緊急招集・関根大輝(22歳)が重宝されそうな理由「デカくて万能」「理想は右の伊藤洋輝」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJFA/AFLO
posted2024/10/09 11:02
W杯アジア最終予選に臨むサッカー日本代表に追加招集されたDF関根大輝(22歳/柏レイソル)。リーグ戦を終えた後、すぐに練習拠点のカタールへ移動した
静岡学園高校時代は、ビルドアップに秀でたCBとして鳴らした。空中戦が強いのはもちろん、最終ラインでボールを持つと、両足での細かいボールタッチを駆使して前線までボールを運ぶ。正確なフィードやサイドチェンジ、縦パスをどんどん繰り出し、プレーを見ればすぐに未来を想像したくなる選手だった。
サイドバックへのコンバートは進学した拓殖大学1年の冬。パスセンス、スピードを兼ね備えていたことから、右サイドが定位置となった。
「中央に比べて視野が確保しやすいし、センターバックの時と同様にビルドアップにも関われる。サイズのあるサイドバックは希少価値もあると思ったので、サイドバックとしてもっと成長したいと思っています」
大学2年時に語った抱負の通り、関根はすぐに期待を上回る成長を見せていく。
拓殖大のサッカーはGKから丁寧にボールを繋ぎ、徹底してボールを動かす超攻撃的なスタイル。関根はサイドバックながらピッチ中央でゲームメイクにかかわりながら、自身も果敢にポケット(ペナルティエリア内の左右のスペース)に侵入し、クロスやシュートなど、決定的な仕事をこなした。
柏で習得したサイドバックの基礎
この攻撃センスにいち早く目をつけたのが、大学卒業を待たずして関根の獲得に動いた柏レイソルだった。
大学4年にあたる今シーズンから加入するとすぐにレギュラーに定着。成長をより加速させたのが、レイソルで求められたサイドバックとしてのオーソドックスなプレーだった。井原正巳監督からは【4-4-2】のシステムの中で、ピッチ中央に入るのではなく、サイドでのアップダウンを求められた。拓殖大での役割とは一変したが、これが関根に大きな成長をもたらしていく。
「これまで縦突破やスピードに乗った状態で深い位置からクロスを上げるようなことはあまりなかった。でも、サイドバックとしてやる以上、これは基本的なプレー。まだまだ足りていないと気付けたからこそ、縦突破のタイミングやキレ、クロスの質に加えて、サイドでの守備を意識して鍛えることができた」
つまり、現代サッカーで求められるサイドバックの“応用編”から入門し、プロになってから“基礎編”を学んでいる状態だった。そんなルーツゆえ、スタンダードではない、スケールの大きさを感じさせるサイドバックに成長できたのかもしれない。
「サイドバックとしてやるべきことが整理されて、改めてサイドバックの難しさと楽しさを学ぶことができた」