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「グラウンドはサッカー部と折半」「ジャージは皆バラバラ」“普通の県立高”がナゼ高校陸上界の頂点に?…22年前にあった「もうひとつの大社旋風」
posted2024/09/08 11:01
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
取材対象者提供
「やっぱりスポーツの力って凄いなと思いましたよ」
岡先聖太は今夏の甲子園で母校が起こした“旋風”を、そんな風に眺めていた。
京都国際の初優勝で幕を閉じた甲子園で、戦前の予想を裏切る大躍進を果たしたのが島根の大社だった。
1回戦でセンバツ準優勝の報徳学園(兵庫)を破る大金星を挙げると、93年ぶりのベスト8にまで進出。準々決勝で敗れたが、「山陰・島根の公立高」の堂々たる戦いぶりはファンの心を掴み、大きな話題にもなった。
ただ、じつは大社の起こした“旋風”はこれが初めてではない。
22年前にあった「もうひとつの大社旋風」
今から22年前の2002年のこと。岡先たちが在学時、陸上競技で「インターハイ総合優勝」という快挙を達成したのだ。当時も「普通の県立高」が起こした奇跡として、多くのメディアに取り上げられた。
野球と違って個人競技である陸上競技では、ずば抜けた才能を持った選手がたまたま非強豪校から全国の頂点に立つようなケースは(もちろん稀だが)なくはない。
だが、「総合優勝」となると話は全く別だ。
陸上競技における全種目の総合得点(※各種目の1位~8位に8点~1点が与えられる)で競う学校対抗戦で優勝するには、全国クラスの選手を相当数擁する必要がある。通常、普通の県立高が優勝することはほとんどないのだ。また、80年近いインターハイの歴史の中で、島根県勢の総合優勝は後にも先にもこの一度だけだ。
それでもこの年の大社は、個人で岡先が円盤投4位。100mと200mでエーススプリンターの野田浩之が3位。リレーでも400mリレー優勝、1600mリレーも4位と、複数種目で得点を積み上げた。特に人数が必要になる両リレーでともに全国のトップクラスに県立高が食い込むのは、異例の事態と言えた。