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「さすが三球王!」三笘薫を絶賛も…0−7にガク然の中国「南野拓実弾でファン途中帰宅」「選手は記者に激怒」“テレビに映らない”W杯予選ウラ側
posted2024/09/07 11:03
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Kiichi Matsumoto
キックオフ1時間ほど前、埼玉スタジアムに入ったファン・サポーター、そして取材者など方々から驚きの声がこぼれていた。
「えっ、埼スタにこんな中国サポいんの!?」
「W杯最終予選で記憶にないですねえ」大応援団
そこからタイムアップを知らせる笛が鳴るまでの約3時間――こんな対戦相手の熱量に落差のある試合も珍しかったのではないか。サッカーワールドカップ(W杯)アジア最終予選初戦、同予選で史上最多となる7ゴールを奪った日本の快勝劇に対して、中国は何もできず惨敗した。
中国メディアの報道やSNSなどをキュレーションした記事によると、嘆きの声続出だそうだ。ただこの日の埼玉スタジアム2002に足を運んだ中国ファンの様子を見ていると、愕然という表現がよりマッチしている気がした……。
日本代表の国際試合が埼スタで開催される場合、アウェイゴール裏は通常、2~3ブロックほどのスペースしか設けられない。しかし5日の試合では5~6ブロックの広さで、南ゴール裏の半分近くを占めていた。2000~3000人ほどはいただろうか。それほど中国応援団が詰めかけた。
「W杯最終予選でこれだけアウェイサポが多いの、ちょっと記憶にないですねえ」
キックオフ前、旧知の記者と普段はサッカー談義や世間話をするものだが、この日ばかりは中国ファンの熱量すごくない? というネタが大半を占めた。
もっと言えば、スタジアムの最寄り駅である浦和美園駅に到着した時点で、普段から違う様相だった。日本代表ユニフォームを着用したファンの中に、中国代表ユニのファンが点在していたのだ。割合にして9:1ほどとはいえ、普段のアウェイサポーターの数を踏まえれば明らかに多かった。3月に国立で行われた北朝鮮戦も大応援団が詰めかけたのは記憶に新しいが、中国にとって2002年日韓大会以来となるW杯出場を目指そう、という期待感が高いことは伝わった。
熱量のピークは“キックオフの瞬間”だった
両国の国歌演奏からVARの不調のためか少々遅れたキックオフ前後まで、中国ファンの声は大きかった。埼スタでこれほどアウェイサポの歌声がはっきり分かる(もちろん日本サポーターの声が上回っていたが)のは、あまり記憶にない。
ただ……熱量のピークはキックオフの瞬間だった。