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「みんなが周りにいて…」伊東純也が浮かべた“苦笑い”の理由…なぜいつもより饒舌だった? ミックスゾーンで語った代表復帰戦“本当の思い”
posted2024/09/06 17:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto
声援と拍手が巨大な音量で入り混じり、スタジアムが轟音に包まれた。
ひとりの選手の登場が、スタジアムをこの日もっとも熱くさせた。
伊東純也である。
アジアカップ以来約7カ月ぶりの日本代表復帰を果たした背番号14が、9月5日に行なわれた中国との北中米W杯アジア最終予選のピッチに立ったのだ。
「喜ぼうと思ったらもう、みんなが周りにいて…」
「あの歓声を聞いて、やっぱりモチベーションは上がりました。応援して下さっている人たちの声は届いていましたし、力になりました。嬉しかったです。ゴールを取ってやろうと、思っていました」
森保一監督がこの31歳を投入した63分の時点で、日本は4対0と大量リードを奪っていた。それでもなお、中国を自陣にくぎ付けにしている。3-4-2-1の右ウイングバックに入った伊東は、右シャドーの久保建英や1トップの上田綺世、セントラルMFの守田英正らと関わりながら、守備ブロックのすき間でボールを引き出し、5バックの背後にある狭いスペースを果敢に狙っていく。
「入る前からいい流れだったので、そこに乗り遅れないようにっていうところで。うまく入れたかなと思います」
チャンスは77分に訪れた。左サイドからのクロスに合わせてペナルティエリア内へ侵入するが、ボールは伊東の頭上を越えていく。右タッチライン際で久保がこのボールを引き取ると、ペナルティエリア内右で伊東がパスを受ける。細かいボールタッチでシュート体勢を整え、左足を振り抜く。密集をすり抜けて相手DFにも当たったボールが、GKの逆を突いてゴールネットに吸い込まれた。
「ゴールを取れたのは、相手に当たってラッキーだったんですけど、良かったなあと思います」
両手を拡げて喜びを表す伊東に、久保がぶつかり合うように抱きつく。守田が、途中出場の田中碧が続き、あっという間に青色の歓喜が出来上がった。日本のベンチ前でも、途中交代でピッチから退いた三笘薫、堂安律、板倉滉らが、笑顔いっぱいに拍手を送っている。
「喜ぼうと思ったらもう、みんなが周りにいて」と、試合後の伊東は苦笑いを浮かべた。
「さっき映像で観たんですけど、ベンチのメンバーもメチャクチャ喜んでくれましたし、チームメイトもスタジアムのみなさんも喜んでくれたので、ホントに良かったなあと思ってます」