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「さすが三球王!」三笘薫を絶賛も…0−7にガク然の中国「南野拓実弾でファン途中帰宅」「選手は記者に激怒」“テレビに映らない”W杯予選ウラ側
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/09/07 11:03
中国で「三球王」の異名を取る三笘薫。彼ら日本代表相手に惨敗を喫した中国だが……埼スタでの様子はどうだった?
「日本がワールドクラスのチームであるとは繰り返し述べた通りで、非常にタフな試合になると理解していた。そのためにも十分に準備を尽くしてきたつもりだった。 それでも、やはり強いチームだった。個人としてのクオリティも非常に高い選手が揃っていたということです」
前回カタールW杯最終予選でオマーンを率い、初戦で日本に冷や水を浴びせた70歳のクロアチア人指揮官は、会見での立ち居振る舞いを熟知していて、15分ほどで終わった。通訳とともに「ワールドクラス」との表現をたびたび使ったイバンコビッチ以上に、気持ちの整理がついていないように見えたのは……選手たちだった。ミックスゾーンで日本代表選手が出てくるのを待っていると、先に中国選手が通路に出てきた。
しかし足取りはスタスタと速い。
イバンコビッチ監督にも質問していた記者が、食らいつくように取材しようとしていた。それに対して――中国語は把握しかねるが――1人の選手は明らかに怒気をはらんだ声を浴びせつつ、ほぼ全員がそそくさと記者の前を通り過ぎた。日本で言えば“取材拒否”との見出しがつくであろう瞬間だった。
ミトマ、すごすぎ。さすが「三球王」だよ
取材を終え、日付が変わる頃に帰途についていると、赤羽駅周辺で3人組の若者が歩いていた。2人はそれぞれ日本代表ユニフォーム、1人は赤のTシャツ姿。その姿を踏まえると、場所を分けて観戦したのち、赤羽の飲み屋街で一杯酌み交わしたと見える。その中で“赤シャツ”の中国ファンがこんな感じで話していた。
〈プレミアリーグを配信で見てるけど……三笘、スゴすぎるね。さすが中国で『三球王』って呼ばれてるだけあるよ〉
日本代表ユニの2人が「な、何その愛称?」と尋ねると、留学生は〈“三”にボールの“球”、王様の“王”って書くんだ〉と説明を続けた。中国ではサッカーやバスケなど、球技が抜群にうまい選手を「球王」と呼ぶらしい。そこに三笘の「三」を付けて、三球王。この愛称で人気なんだとか。なんだか「三冠王」みたいじゃないか……と思いつつ、中国ファンの愚痴はこう続く。
〈日本には遠藤(航)もいるし。てかプレミアで出てる菅原(由勢)や鎌田(大地)がサブだし、そもそもケガで冨安(健洋)いないし。戦力差ありすぎだよ〉
日本代表ユニの2人は少々の優越感を感じていただろうが、こんな風に中国ファンを慰めていた。
〈まあ、まだ本当のワールドクラスではないけど、日本代表もだいぶ強くなったからね〉
奇しくもイバンコビッチ監督の会見と同じ「ワールドクラス」という表現を、違う感覚で口にしていた。