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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「アンパイアの判断がいちばん正しいんです」続く熱戦のウラ側で…相次ぐ“誤審疑惑”に揺れる高校野球 現役審判員が語る「ジャッジのリアル」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2024/08/21 17:01
甲子園の開会式で整列する審判団。熱戦の内幕だけでなく、今大会では「誤審疑惑」の問題もたびたび話題に上がった
「テレビで見てましたから、逆によく見えてました」
ある自治体で、高校野球のジャッジをしている現役審判員の方だ。
「確か位置的に、投手のかかとは一塁ベースの上にありましたから、から足っていうんですか。スパイクはベースの上にあったけど、接触はしてない……そういう究極の判定をされたんじゃないですかね」
甲子園球場100周年の夏の大会。
熱戦続出に盛り上がる一方で、アンパイアの微妙なジャッジも話題に挙げられていた。
同じ試合の終盤。
遊撃手の前に緩いゴロが転がる。
明らかに、内野安打狙いの「当て逃げ」だったから、一塁へ向かった打者走者のスピードは素晴らしく、懸命に突っ込んで捕球即アンダーハンドから繰り出した遊撃手の送球も、ヘッドスライディングの手が一瞬早く一塁ベースを「捉えた!」と思った瞬間、ジャッジは「アウトー!」。
まわりで見ていた4人が、全員「ええーっ!」。
スロービデオの「おさらい」を待ってみたが、画面にスロービデオは出されなかった。
「基本、手でベースタッチにいくヘッドスライディングは片方の手でブレーキをかけることが多いので、スピードが落ちてタイミングアウトがほとんどなんです。頭から滑るから、怖いんですね、選手たちも。一塁へのヘッドはむしろ、ベースの上にドーンとダイビングする感じでいったほうがセーフになりやすいんです」
一塁ヘッドスライディングの「ほんとのところ」を教えていただいてしまった(※諸説あるようです)。
「アンパイアのジャッジがいちばん正しい」…その真意は?
「微妙に見えるジャッジはいろいろあると思うんですけど、アンパイアのジャッジがいちばん正しいんです」
そう自信をもって答えてくれた審判員の方。その理由はつまり、こういうことだという。
<次回へつづく>