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審判は「野球の必要悪」!? 佐々木朗希への“球審詰め寄り騒動”は結局何が問題なのか《侍ジャパンには“星野監督の失敗”で申し送り事項も》
posted2022/04/29 11:05
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Sankei Shimbun
4月24日の京セラドームで行われたオリックス対ロッテ戦でのロッテ・佐々木朗希投手と白井一行審判員との騒動が波紋を広げている。
2回に佐々木がオリックス・安達了一内野手に投じた3球目、外角低めの158kmを「ボール」と判定され、同時に盗塁を許した。すると佐々木が2、3歩マウンドを降りて、「あれがボール?」とばかりに苦笑いを浮かべたのだ。これに対して白井球審が何かを言いながらマウンド方向に歩いて詰め寄るような行動に出た。白井球審の険しい表情から一触即発のムードもあったが、松川虎生捕手が間に入り、ベンチから出てきたロッテ・井口資仁監督も白井球審に「冷静にいきましょうよ」と声をかけて、その場は何とか収拾することとなった。
しかし事態はこれでは収まらなかった。
野球のルールには原則的に“誤審”という概念はない
この試合は佐々木が2試合17イニングにわたって完全試合を継続している中での先発試合で、それこそ日本中の野球ファンが注視していた。その中で白井球審が詰め寄ったのが、選りに選ってその佐々木だったのである。
騒動勃発直後からネットでは白井球審の行動への賛否両方の意見が溢れた。中身はやはり否定的な声が圧倒的で、週が明けた翌25日には審判員を統括する日本野球機構(NPB)にもファンから批判的な意見が多数、寄せられたという。
その中で同日には友寄正人審判長からNPBに検証報告が行われた。
「当該審判(白井審判員)に対しては『プレーヤーに対し、指導、注意をすることはあるが、今回は別の方法があったということを考えて対応すべきだった』と指摘した」という報告に、NPBとしては「処分になるような根拠規定はない。何らかの処分をする対象とは考えていない」(井原敦事務局長)という結論に達している。
世論的には白井審判員の形勢はあまり良くはないのだが、あの行動自体はルールブックに則せば、決してやってはいけないものではなかった。
そもそも野球のルールには原則的に“誤審”という概念はない。