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え、リネールvs斉藤立の応援が「仕込み」!? パリ五輪、どんな競技でも会場が超盛り上がっていた秘密は「チケット支給の公設応援団長」だった!

posted2024/08/12 11:03

 
え、リネールvs斉藤立の応援が「仕込み」!? パリ五輪、どんな競技でも会場が超盛り上がっていた秘密は「チケット支給の公設応援団長」だった!<Number Web> photograph by Tetsuya Higashikawa/JMPA

柔道混合団体戦決勝、「電子ガチャ」からのリネールの勝利でシャン・ド・マルス・アリーナは熱狂に包まれた、のだが……

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広岡裕児

広岡裕児Yuji Hirooka

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Tetsuya Higashikawa/JMPA

 あの運命の電子ルーレットの柔道混合団体決勝戦。テレビで見ると、審判のちょっと左の観客席中段、斉藤立選手の頭ぐらいの高さのところに、大きなテディ・リネール選手の顔写真が揺れていた。そのまわりでは観客達が立ち上がり、「アレー・レ・ブルー」とか「テディ」とか叫んでいる。そしてフランス国旗の小旗が乱舞していた。

 じつは、これ、「仕込み」なのである。

「応援団長」があおっていた!

 観客たちがいた一画は、「カレ・デ・シュポルテール」という。英語に直訳すれば、「サポーターズ・スクエア」、特別に設けられた応援席だ。

 よく見ると、階段のところでは、白い服の男が、畳の上のリネールと斉藤の戦いには目もくれず、観客の方を向いてメガホン拡声器片手に盛んにあおっている。

 この男は、オリ・パラ組織委に登録された専門リーダー。リネールの写真は1mのPVC(ポリ塩化ビニル)製で他の選手のものと同様、テレビ映りを意識して組織委がつくったもので、このほか、メガホン、横断幕、旗、帽子、Tシャツ、観客の小旗もすべて支給されたものである。

 パリでは、開催が決まってから、オリンピックを盛り上げるためにさまざまな企画がたてられた。たとえば、コンコルド広場やエッフェル塔など街の中心の名所を会場にする、というように。その一つの案が、サッカーやラグビーでおなじみの応援団をつくる、というものであった。そのためオリ・パラ組織委はフランス最大のトゥールーズ・フットボール・クラブの私設応援団の元団長を雇った。

 新型コロナ禍もあって、立ち消えになりそうだったが、無観客で行われた東京大会に出場したアスリートたちの意見もあって、ただフランス選手を応援するのではなく、いわば会場を熱くする「火種」となるものにする、ということで実行に移されることになった。

【次ページ】 実験をもとに応援人員を計画的に配置

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