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え、リネールvs斉藤立の応援が「仕込み」!? パリ五輪、どんな競技でも会場が超盛り上がっていた秘密は「チケット支給の公設応援団長」だった!
text by
広岡裕児Yuji Hirooka
photograph byTetsuya Higashikawa/JMPA
posted2024/08/12 11:03
柔道混合団体戦決勝、「電子ガチャ」からのリネールの勝利でシャン・ド・マルス・アリーナは熱狂に包まれた、のだが……
リーダーは「応援団長」ではなく、直訳すると「雰囲気のリーダー」という名前になった。フランス選手が出ない会場にもエリアを作る。「サポーター」は「フランス選手」だけではなく、オリンピックという祝祭そのものをサポートするのだ。
開幕式の前日、7人制ラグビーの試合を見に行った。1試合14分で、1日に何試合も行われるのだが、フランス以外の試合でもトランペットが鳴り響き、太鼓がたたかれている。荷物検査が厳しいのによく持ち込めたな、と感心していたのだが、そのうちにいつも同じような場所から聞こえてくることに気づいた。普通の試合なら各国の応援団は違う場所に陣取るのに、不思議だなと思っていたが、そういうことだったのだ。
実験をもとに応援人員を計画的に配置
「私たちはさまざまな競技会でこの仕掛けをテストしました。これによって、サン・カンタン・アン・イヴリーヌの自転車競技場のような小さな場所なら、50人のサポーターが集まっただけで十分であることがわかりました。大きな会場では、1000あるいは1500以上が必要です」とロマン・ラッシェン担当部長代理は語る(ル・パリジャン紙2024年7月29日)。
この経験をもとに、応援エリアは競技場に応じて50~1000席とされた。そして、基本的に、観客9人に対してリーダー1人、フランス選手が出場するときにはリーダーを倍にすると決まった。
こうして、昨年7月26日、ちょうどオリンピック開催の1年前に「アレ・レ・ブルー」というプロジェクトが発表された。「ブルー」はいうまでもなく、フランス・ナショナルチームのこと。「アレ」は「行け!」という応援の時の常套句だ。