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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「我々も敗北を重ねてきた」日本バレー絶賛のイタリア人記者が“2028年ロス五輪”に期待「ランをはじめ、強力な若手がいる国はそう多くない」
posted2024/08/07 18:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Volleyball World
この日、最後の1点をもぎ取ったミドルブロッカーのロベルト・ルッソは、日本代表を「アニメのようなチーム」と賞賛した。西洋的価値観からすると“この世での人智を超えている”という、一種のホラー的解釈もできる。そんなふうに、日本に畏怖したのはルッソだけではない。
「第1セットも第2セットも、俺たちはサーブやスパイクをきちんといい形で強打できていたはずなのに、日本は絶対に拾ってくる。何度も何度もやられるうちにこっちのメンタルがやられそうだった。まるでレシーブの戦闘兵器だよ。日本が強いのはわかっていたが、ここまでとは思ってもみなかった。俺のキャリアで一番難しい試合だった」(ダニエレ・ラビア/アウトサイドヒッター)
「日本のバレースタイルを研究はしてはいたが、そのレベルが想像を超えていた。最初の2セットはかなり苦しかった。もちろん、残りの3つも同じくらいきつかった」(ファビオ・バラソ/リベロ)
ネットを挟んで直に手合わせした選手たちの声は、日本への生々しい恐怖心に満ちている。心身ともに疲弊し、半ば放心状態の彼らには、勝ち上がった安堵よりも、打っても打っても拾ってくる日本バレーへのトラウマが刻みこまれた。あの日の日本は、百戦錬磨のはずの彼らの経験や価値観に存在しないチームだった。
「(ボールが)胸にあたっても反撃される」
「何をやってもどんなに手を尽くしても、日本は絶対に拾ってくる。呆然とするしかなくて、俺達は顔を見合わせて笑いすら出てきたほどだった。こんなプレーしてくるチームに出くわしたのは人生で数えるほどしかない。日本のコートへ強打を打ち込むたびに、腕じゃなく胸に当たれ! 落としてくれ! と祈ってたよ。ところが、願い通りに胸に当たっても彼らはつないで反撃してくる。お手上げだった」
アッズーリの正セッターとして幾多の修羅場をくぐってきたシモーネ・ジャンネッリも憔悴しきっていた。
「本当に疲れる試合だった。俺は決勝トーナメントで日本に当たる国はご愁傷さまと思っていたが、まったくその通りだったよ。うちはやられ続けても毅然とチームとして一体であり続けたのがよかったんだろう。チームメイトたちが素晴らしかったのは間違いない。一人ひとりがどこにいるか、セッターの俺はわかっているはずだと全員が信じてブロックやスパイクに動いてくれた」