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「我々も敗北を重ねてきた」日本バレー絶賛のイタリア人記者が“2028年ロス五輪”に期待「ランをはじめ、強力な若手がいる国はそう多くない」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2024/08/07 18:01

「我々も敗北を重ねてきた」日本バレー絶賛のイタリア人記者が“2028年ロス五輪”に期待「ランをはじめ、強力な若手がいる国はそう多くない」<Number Web> photograph by Volleyball World

攻守にわたって存在感を発揮した高橋藍(22歳)。イタリアでのプレー経験が大きな進化につながった

 試合のターニングポイントとなった同点のサービスエースについて問われると、ジャンネッリは毅然と答えた。

「やるしかなかった。人生には己のすべてをかけて勝負をするときがある。あの場面でエースを取れると俺は信じていたし、やれるとわかっていた。あんなサーブが決まるのは20本に1回だけだろうがね」

イタリア監督「究極の忍耐を試された」

 五輪のタイトスケジュールのせいで、イタリアは即座にフランスとの準決勝に頭を切り替えなければならなかった。本当の勝因は何だったのか、日本戦の詳細な分析は五輪を終えた後、FIPAV(イタリアバレーボール連盟)の技術強化部門ディレクターも兼任する代表監督フェルディナンド・デ・ジョルジ主導の下で綿密になされるだろう。

 母国メディアに向け、口を開いた指揮官は「この勝利は大きい。日本は言葉にならないほど素晴らしい試合をした。彼らも勝利に値するチームだった」と切り出した。

「両者を分けた差は本当にわずかだった。我々は第2セットを取り損ねたことで苦しんだが、選手たちは最後の最後まで生き残るための方法を探し続けてくれた。窮地に追い込まれても決して自我を失わず、目を凝らし、頭をひねり、あくまでも実直に戦い続けた。日本のように守備力が傑出したチームが相手だと、スパイクを拾われ続けることで選手たちは精神的に心を折られてしまう。私が選手に言い続けたのは『頭をクールに保て。あらゆる手を試せ。最後まで信じろ』ということだった」

「我々は日本と対戦したことで究極の忍耐を試された。彼らがいいプレーをしていたのは事実だが、我々の出来が悪かったわけではない。劣勢でも選手を交代させようとは考えなかった。準々決勝で当たったのがどこであれ別の国だったならイタリアが主導権を握れたはずだ」

 日本はイタリアを絶望の淵に追い込んだ。勝ったのはイタリアだが負けた日本との差は紙一重、毛ほどの差しかなかった。

【次ページ】 「我々は何度も挑戦し、敗北を重ねてきた」

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