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競泳・鈴木聡美はなぜ競泳界の「常識を覆せる」のか…東京五輪は代表落ち、恩師も「不器用」「才能がない」と認める33歳がパリの次に目指すもの 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byRyosuke Menju/JMPA

posted2024/08/03 17:00

競泳・鈴木聡美はなぜ競泳界の「常識を覆せる」のか…東京五輪は代表落ち、恩師も「不器用」「才能がない」と認める33歳がパリの次に目指すもの<Number Web> photograph by Ryosuke Menju/JMPA

パリ五輪女子平泳ぎ200m決勝、鈴木聡美の力強い泳ぎ

 現役続行を決意すると、新たな取り組みを始めた。泳法の改革だ。それまでの大きく手をかいて泳ぐスタイルから、テンポを上げるスタイルに挑戦したのだ。アダム・ピーティ(イギリス)が成果を上げ、平泳ぎの主流になってきた泳法だった。

30歳からの泳法変更

 長年なじんだ泳ぎ方を変えるのは、ましてやベテランの域になってからであれば、容易ではない。捨て去るのも並々ならぬ勇気がいる。それでも成長を期して、変化を志した。

 当然、簡単に成果は出ない。それでもあきらめずに取り組み、実ったのは2023年のこと。選考会で好成績を残し、世界選手権代表に選出、5年ぶりに日本代表に復帰して世間をあっと言わせた。

 ここで大きな成果をあげる。100mでは2009年以来実に14年ぶりに自己ベストを更新したのだ。

「来年のパリへ向けて課題もたくさんみつかりました。すべてのレースで超えていきたいです」

 自分はやれる。確信を持てた。それが今シーズンの糧になり、パリへとたどり着いた。

 年齢の壁をはじめ、日本競泳界の常識をいくつも覆す鈴木だが、高校時代には全国大会で上位に入ることもなく、いわゆる「無名」と言ってよい存在に過ぎなかった。山梨学院大学に入学後から彼女を導いてメダリストに育て、現在も指導にあたる神田忠彦監督は鈴木をこう評している。

【次ページ】 不器用でも最後にはものにする

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