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「コクボやフジタ、ホソヤにヤマモト、タカイも…メダル候補だ」トルシエが“パリ五輪世代ベタボメ”の理由「バルサ的な形ではない。だが」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byMutsu Kawamori
posted2024/07/30 19:18
マリ戦、決勝ゴールに会心の表情を浮かべる山本理仁(7番)ら日本代表イレブン。トルシエもこのチームを高く評価している
「しっかりとコミュニケーションをとって冗談を言い合う。もの凄く真剣ではあるがリラックスしていて誰もが満足している雰囲気……。リラックスしているからこそ、的確な判断が出来ているように見える。そしてしっかりと集中している。
日本はバルセロナのようにプレーするチームではない。だが、コレクティブな努力ができるチームであり、即座に前線に殺到できるチームだ。たとえば藤田のような選手でも、常に全力を尽くしている。プレスをかけながら、機会をうかがって常に前に行こうとする。それこそが彼の最大限の能力だ」
――これで通過は決まりましたが、次のイスラエル戦ではこれまで試せなかったことを試すことになるのでしょうか。
「まず考えられるのはターンオーバーをすること。これまで出場の機会に恵まれなかった選手を、大会の雰囲気に馴染ませることだ。彼らもノックアウトステージに向けて準備する必要があるし、グループリーグを戦った選手たちは休養を取る必要がある。だからとてもいい機会で……日本の1位突破はほぼ決まっているのだろう?」
――そうです。
「ならばカードを貰うリスクを避けるべきだ。藤田はすでに1枚貰っている。だから彼に代えて別の選手をボランチとして起用する。他にも何人かいるから、彼らが出場停止にならないようにケアするべきだ」
相手を疲れさせることができるのは、日本の能力だ
――準々決勝ですが、相手はスペインまたはエジプトになりそうです。グループCの現状はスペインが1位でエジプトが2位で、最終戦は両者の直接対決になります。
「それではエジプトと当たる確率が高いわけだ」
――そうです。エジプトもまた強固なチームです。
「たしかに強固だが、力を比較すれば日本がエジプトを上回っているといえる。エジプトはモロッコと少し似ていて、選手は個の力に優れている。そして繰り返すが日本には組織の力があり、戦いを避けながら相手を走らせることができる。相手を疲れさせることができるのは日本の能力だ。
だがスペインとなると話は別だ。日本と同じようなプレースタイルで、試合はディテールの戦いになる。しかしエジプトならば、マリと同様でコレクティブなチームではない。選手も個の力に優れている。日本は対処しやすいといえる」
――わかりました。メルシー、フィリップ。
<つづく>