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「コクボやフジタ、ホソヤにヤマモト、タカイも…メダル候補だ」トルシエが“パリ五輪世代ベタボメ”の理由「バルサ的な形ではない。だが」
posted2024/07/30 19:18
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Mutsu Kawamori
7月27日、U-23日本代表はU-23マリ代表を1対0と下し、グループリーグ2戦目にして準々決勝進出を決めた。それも1位突破をほぼ確実とする、大会を通しての最速のリーグ戦突破だった。
対戦相手のマリに日本は、3月に京都でおこなわれた親善試合で1対3と完敗している。フィジカルの強さとプレーの強度、アフリカ独特のリズムに翻弄された選手たちは、リベンジとなった試合で何を見せたのか。勝利を得たことで明らかになった、このチームの特徴はどこにあるのか。
同じ日の昼、宮本恒靖・日本サッカー協会会長を、ボルドー近郊のサンテミリオンにある自らのワイナリーに招き、彼の家族と昼食を共にしたフィリップ・トルシエが、難しい戦いを日本が制したマリ戦を分析した。
マリは日本の粘り強さに耐えられず…
――試合は見ましたよね。日本は1位でのリーグ突破をほぼ決めました。
「もちろんとても素晴らしいことだ。この勝利は……日本のコレクティブな連帯の上に築かれた勝利であり、選手たちがともに努力をする能力があったからこそ勝ち得た勝利だった。守備のブロックを築き、攻撃の波をそこからもたらした。このコレクティブな連帯感こそが――とりわけボールのない場面での、もちろんボールのある場面でもそうだが――チームのダイナモだった。選手は全力を尽くすことを厭わない。彼らは全員で力のすべてを出し尽くす。強固なブロックを築いて決して崩れることがない。
そこから可能になるのがプレスの戦略だ。対戦相手はミスを誘発される。彼らは思い通りにボールを回せない。常にプレスをかけられて、ミスを引き起こされてボールを失う。マリは自分たちのプレーを一度としてできなかった。コレクティブな攻撃を仕掛けることはまったくできなかった。個の能力は優れているから個人のプレーはできたが、コレクティブな攻撃の展開はまったくなかった」
――その通りでした。
「マリはもっと得点機を作ることはできただろう。だがそこに立ち塞がったのは日本の連帯感であり、日本の選手たちの脚だった。彼らが心地よくプレーすることは一度もなかった。日本の粘り強さに耐えられず、ゴールを大きく外すシュートやミスでプレーを終えざるを得なかった」
日本の素晴らしいコレクティブと戦略が勝因だ
――前半に関してはほぼ完ぺきでした。