ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「日本vsスペインは“五分五分”だ」五輪サッカー男子メダルへの大一番をトルシエが占う「間違いなくパス回しを分断できる」と断言するワケ
posted2024/08/02 06:03
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
パラグアイ、マリに連勝した時点で、U-23日本代表は五輪サッカーのグループリーグ1位通過をほぼ決めた。リーグ最終戦のイスラエル戦は、消化試合でありながら準々決勝に向けての貴重な準備の場でもある。
その試合にも勝って、日本は3連勝でリーグ戦を終えた。総得点7、失点は0。この結果をフィリップ・トルシエはどう総括するのか。そしてスペインとの対戦が決まった準々決勝について、トルシエに展開予想を聞くと“五分五分”だと口にした。果たしてその根拠とは――イスラエル戦直後に電話で話を聴いた。
イスラエル戦、大幅入れ替えは監督の素晴らしい決断だ
――今日もまた日本は試合をコントロールして勝利を得ました。
「日本はこの試合の前にほぼ突破を決めていた。だから監督は選手を変更し、ターンオーバーを実行した。それは求められていたことであり、藤田譲瑠チマや細谷真大、斉藤光毅、高井幸大、大畑歩夢といった選手たちを、全員ではないが後半のある時間帯まで温存できたのはとても良かった。監督の素晴らしい決断だったといえる。
それから言えるのは、前半の日本は連動性を見出すのが難しかったことだ。しかし同時に最初の20分間を別にして、メカニカルなコレクティブの力によってゲームをコントロールすることができた。それは選手の個の力によるのではなく、コレクティブなプレーで相手とボールを走らせた。また攻撃では、パニックに陥ることなくボールを配球できた。そのメカニズムは完ぺきとは言えなかったが、相手のプレーを分断する唯一のやり方であり、十分に機能したといえる」
――イスラエルの攻勢で試合は始まりました。
「最初の10分間は、イスラエルが存在感を示して日本ゴールを脅かした。マリ戦やパラグアイ戦も同様だったが、10分を過ぎたころから日本は相手の攻撃のエネルギーを断ち切り、相手はボールをコントロールはしても試合をコントロールすることはできなくなってしまった。前半の日本はすでに突破がほぼ決まっていることもあり、積極性は感じられなかった。しかしすぐに試合をコントロールして、それは前半の最後まで続いた。
後半になっても、イスラエルには勝利を得ようとする意欲が見えなかった。彼らには勝利が絶対的に必要だったが、その意思が感じられなかった」
評価したいのはフジタの素晴らしいパスだ
――不思議ではありませんでしたか。