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ホーバスHCから「終わった」と言われ…バスケ日本代表・比江島慎(33歳)がドン底から復活のワケ チームのために「変われる」ベテランの強さ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/07/22 17:01
男子バスケ日本代表チーム最年長となったベテラン・比江島慎。昨年のW杯で見せた勝負強さを五輪の大舞台でも発揮できるか
先月行われたオーストラリアとのテストマッチの2試合目。相手チームの選手たちが、生粋の3Pシューターに見せるようなディフェンスを比江島に繰り出してきたのだ。試合後、比江島はこう語っていた。
「相手が僕の3Pを徹底的に消してきたので。もちろん3Pを打たないといけないんですけど、そこまでされたらドライブしてもいいかなと。他の選手がワイドオープンになれたら、そっちの方がいいのかなと考えながらやっていました。(そこまでされるなら)僕はおとりでも良いと」
すでに対戦しているドイツはともかく、フランスやブラジルなどはこのときのように比江島をシューターとして扱ってくる可能性がある。そうなれば日本にとってはチャンスだろう。
比江島がボールを持ってきたときに、相手が間合いをつめてディフェンスをしてくれば元来得意としていたドライブがしやすくなる。相手が比江島にパスすら受けさせないようなディフェンスをしてくるのであれば、比江島が攻撃時のポジションを意図的に調整することで、味方が相手と一対一をしかけるようなスペースを作ることもできる。
ホーバスHCから求められた通り、比江島はチームのために変わったからこそ、今までよりもプレーの選択肢が豊富で、怖い選手になれたのだ。
進化したベテラン選手の「真価」
7月21日のセルビアとの強化試合では、怪我で戦列を離れていた渡邊雄太もついに出場。ようやく日本代表チームの全容が整った形になった。ただ、それでも今度のオリンピックは昨年のW杯よりもはるかに厳しい対戦が待っている。W杯には32カ国が出場するのに対して、オリンピック出場国はわずか12カ国だ。
そこで勝利をつかむために必要なのは、チームの進化である。そして、チームの進化とは個人の進化の集合体である。だからこそ、チームで最も「変化=進化」した2人の奮闘が強く求められるのだ。