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ホーバスHCから「終わった」と言われ…バスケ日本代表・比江島慎(33歳)がドン底から復活のワケ チームのために「変われる」ベテランの強さ 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2024/07/22 17:01

ホーバスHCから「終わった」と言われ…バスケ日本代表・比江島慎(33歳)がドン底から復活のワケ チームのために「変われる」ベテランの強さ<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

男子バスケ日本代表チーム最年長となったベテラン・比江島慎。昨年のW杯で見せた勝負強さを五輪の大舞台でも発揮できるか

 昨年の日本代表合宿での練習を終えた後、ホーバスHCが笑顔で語っていたことがあった。

「比江島はもう(求められることが)わかっているから、今日はわざと大きな声を出していたね(笑)」

 ただ、比江島の場合、より大きな変化が見られたのはプレースタイルの部分だ。

 彼がゴール下に向かってドライブするとき、独特のステップだけではなく、ボールを相手の目の方向に一瞬動かす動作をすることで、相手をビックリさせるというプロボクサー顔負けのフェイントも大きな武器になっている。だから以前は、「『シューター』か攻撃をクリエイトする『ハンドラーか』か、比江島はどちらのタイプか?」と聞かれれば、後者と答える人が99%だった。

 ところが年々3Pに磨きをかけ、2023-24シーズンにはBリーグでベスト3P成功率賞に輝くまでになった。

 直近5シーズンのBリーグレギュラーシーズンにおける3Pのシュート数と成功率をシーズンごとに見ていくと、彼の進化は一目瞭然だ。

<ホーバスHC就任前>

2019-20シーズン 3.1本 35.2%
2020-21シーズン 2.7本 34.2%

<ホーバスHC就任後>

2021-22シーズン 3.8本 42%
2022-23シーズン 4.5本 43.4%
2023-24シーズン 4.4本 44% ※ベスト3P成功率賞

比江島が「3P成功率」を向上させた意味

 ホーバスHCは統計を元にした「アナリティクスバスケットボール」を重視しており、選手たちには3Pシュートを打つように強く求めている。今回のパリオリンピックに向けても、「リバウンド獲得率の向上」、「スティール数の向上」と並んで、「3P成功率の向上」をテーマに取り組んでいる。オリンピックに参加する12カ国のなかでも身長がもっとも低い部類に入る日本にとっては大事なポイントだ。

 当然だが、3Pの本数を増やしたり、成功率を上げるように求められたからといって、簡単に上げられるものではない。比江島はそれを実現するための努力をしてきたのだ。

 その成果として、興味深いことがあった。

【次ページ】 進化したベテラン選手の「真価」

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