「まさか全球直球とは…」29年前、野茂英雄がオールスターで投げた“25球の衝撃”「打てるもんじゃない」なぜ6人の対戦打者は驚いたか？ 

野茂の“25球”に対戦打者が感じた美学

　5番アルバート・ベル（当時インディアンス）はこれまでの4人の勝負を確認した上で打席に入った。

「空振りを狙うフォークボールは鋭く落ち、ストライクをとる時は緩めに投げてくる。そして、かなり素晴らしい直球を投げる。ストライクを打つしかない」

　2-2からの直球に本塁打王のバットは空を切った。

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　野茂の投球美学に敬意を表したのが6番カル・リプケン（オリオールズ）だった。歴代最多の2632試合連続出場を果たした鉄人にも野茂は直球のみを投げ込み右飛。米国の英雄は日本から来た新人右腕を称えた。

「野茂は素晴らしい投手だ。打者が直球を待っている、投手も直球を投げたい。その場面で素晴らしい直球を投げ打ち取るのだから」

1995年撮影　©Getty Images

　2回を投げ25球、1安打、3三振、無失点。投球の内訳は直球18球、フォーク7球。勝負を楽しんだ野茂は言った。

「もうちょっと打たれて、何回もバッターが回っても良かった（笑）。もっとマウンドで対戦を楽しみたかったかな、とも思います（笑）」

　球宴とは、公式戦の場から離れ、選手それぞれが楽しむ場。スキンズはどんなアプローチを見せるのか。大谷翔平は本塁打狙いの豪快なスイングを見せるのか。選手たちの心を読み解きながら、球宴を楽しみたい。