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「まさか全球直球とは…」29年前、野茂英雄がオールスターで投げた“25球の衝撃”「打てるもんじゃない」なぜ6人の対戦打者は驚いたか?
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2024/07/17 06:00
1995年、初出場のオールスターで投球する野茂英雄
当日、野茂は子供のようにはしゃいでいた
試合後、ホテルの一室に戻った野茂は興奮冷めやらぬ表情だった。その姿はまさに野球少年のようだった。
「今日はかなりサインをもらいましたからね。去年まではテレビでオールスター見ていましたし、すごい!という選手と話したり、同じフィールドで野球ができるというのは、本当に嬉しかったし、本当に自分が子供みたいでした(笑)。今日は調子とか全然関係なくて、打たれてもいいし、本当に楽しみたかった。結果は良くて気分はいいですけど、打たれても楽しかったんじゃないかなと思っています」
『楽しみたかった』――。言うまでもなく、それは直球勝負を楽しむことにあった。
だが、スタートは意外にもフォークボールのサインが多かった。
1番・ケニー・ロフトン(当時インディアンス)は1-2からのフォークに空振り三振。92年から5年連続盗塁王に輝いた俊足巧打の韋駄天はあっさり脱帽した。
「彼は今やときの人だからね。僕には打てないよ」
「初めての対戦じゃ、彼は打てるもんじゃない」
2番は“悪球打ちの名人”カルロス・バイエガ(当時インディアンス)。1-1からのフォークボールを膝を折りながら右前打。球宴で許した唯一の被安打となったが、彼は1992年に開催された日米野球で野茂と対戦していた。
「初めての対戦じゃ、彼は打てるもんじゃない」
3番エドガー・マルチネス(マリナーズ)の4球目にバイエガが盗塁失敗。この年、打率.356で首位打者に輝いた好打者はプランを持ち打席に入っていた。
「最初に野茂の投球を見たとき、打つのは難しいと思った。直球も変化球もいい。だから直球を狙って行こうと思っていた」