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陸上日本選手権で見つけた“ある異変” 偏差値70超の公立進学校→アメリカ名門大へ…「高校では超無名」愛知の19歳はなぜ日本の頂点に立てた? 

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山崎ダイ

山崎ダイDai Yamazaki

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photograph bySatoshi Wada

posted2024/07/03 06:00

陸上日本選手権で見つけた“ある異変” 偏差値70超の公立進学校→アメリカ名門大へ…「高校では超無名」愛知の19歳はなぜ日本の頂点に立てた?<Number Web> photograph by Satoshi Wada

駅伝名門高校・大学のスピード自慢達を退けU20日本選手権で優勝したカンザス大の樋口諒。日本の高校時代は全くの無名の存在だった

 そんな中で樋口はわずか1年弱の大学生活で高校時代の1500mの自己ベストを7秒近くも更新し、U20とはいえ影すら見えていなかった日本一までたどり着いた。そこにはどんな秘密があったのだろうか。

「うーん……そうですね。行ったばかりの頃は慣れないことばかりなので、焦って結果を出そうとはしないほうが良いかな、とは思います。まずは自分がいる環境に身を任せて、全部イチからやってみる。その感覚と覚悟が大事だったのかなと思います。

 僕の場合は、ほんとに心身ともに全部強くなったと思います。生活から全部、英語でコミュニケーションをとらないといけない。その分メンタルの強さも必要ですし、筋力トレーニングもハードなトレーニングがたくさんあるので、フィジカル的にも成長できました」

 良くも悪くも樋口は実績のない状態でアメリカに挑んだ。

 駅伝強豪校の出身でもないだけに、トレーニングのスタイルにも確たるこだわりがなかった。それだけにアメリカスタイルの練習に対しても、柔軟に受け入れることができたことが大きかったそうだ。

「日本はすごく高校生のレベルが高いので、国内で見ればそこまで図抜けた持ちタイムではなくても、アメリカでは獲ってくれる大学があるんです。もちろん英語力も必要になるんですけど、例えばそこも含めて文武両道でやりたいとか、そういうスタイルにも合うような進路が良いという選手なら、アメリカで活躍してタイムも伸びるチャンスがある選手は多いと思います」

樋口以外にも…海外大で活躍する若手たち

 例えば今回の日本選手権で800m4位に入った石井優吉は、八千代松陰高からペンシルベニア州立大に進学している。また、U20の110mハードルで4位に入った北條友葵(三田国際学園高→用賀陸上)は、9月からプリンストン大へ進学予定だ。

「今年はU20での出場となったので、来年は日本選手権に出場して、そこで勝負したいです。アメリカでは 全米学生選手権という日本インカレのようなものがあるので、その出場を目指して頑張っていきたいなと思います」

 実際に若手選手の中では徐々に海外大所属で活躍するケースも増えてきている。今後はレベルに関わらず、進路のひとつとして海外挑戦する選手も増えていくのかもしれない。

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