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仙台育英“じつはドン底だった”今の世代…主将の胸中「イライラすることが多く」甲子園で優勝、準優勝…最強メンバー“1つ下”の苦悩 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/06/09 06:00

仙台育英“じつはドン底だった”今の世代…主将の胸中「イライラすることが多く」甲子園で優勝、準優勝…最強メンバー“1つ下”の苦悩<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

夏の甲子園で優勝、準優勝、そして…仙台育英の今

須江監督の見解

 4月27日の春季宮城大会・中部地区予選の仙台商戦では、8回表まで0対0と苦戦を強いられた。だが、湯浅が8回裏無死満塁のチャンスで走者一掃の中越え適時打を放って勝ち越しに成功する。須江監督はこの一打で、湯浅の求心力がより一層高まったと感じたという。

「湯浅に対して『何を考えているのかわからない』という部員もいたと思うんです。それでも、公式戦の苦しい場面で打ってくれて、『やっぱりこういうところで打つのが湯浅だよね』と、あらためてチームメートの信頼を得たように感じました」

 5月22日、春季宮城大会準々決勝では昨秋に敗れた東陵と対決。山口が好リリーフで相手打線を封じ、三塁打を放つなど打撃でも活躍。湯浅も貴重な適時打を放ち、仙台育英は3対1でリベンジを果たした。

 同点に追いつくチャンスメークをした登藤は、感慨を込めてこう語る。

「東陵に負けてからの8カ月はすごく長くて、絶対に同じ相手には負けられないと感じていました。攻撃も守備も課題の多い試合でしたけど、それぞれの役割を冷静に果たせば勝てると自信になりました」

 その後は危なげなく勝ち進み、仙台育英は春季宮城大会優勝を飾る。聖和学園との準決勝では、それまで当たりの止まっていた主砲の鈴木拓斗に3ラン本塁打が飛び出す好材料もあった。

あの大歓声…慶応戦の記憶

 鈴木も湯浅、登藤とともに昨夏の甲子園で先発出場したメンバーである。準決勝まで2本塁打と持ち前の長打力を発揮したものの、慶應義塾との決勝戦は3打席3三振。左翼守備でもミスがあり、途中交代している。鈴木は当時を「甲子園が慶應のイケイケムードになって、試合に入りきれなかったのかな……」と悔やむ。

【次ページ】 「今年はカメみたいなチームです」

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