猛牛のささやきBACK NUMBER
日本ハム移籍でもう6勝「バットを持つと輝き増す」山崎福也…オリックス時代の“相棒”が語る「サチさんの素顔」「由伸、宮城へ秘めた思い」
posted2024/06/06 11:02
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
SANKEI SHIMBUN
今年も山崎福也の季節がやってきた。
パ・リーグの投手でありながら打撃センスも備え、打つことが大好きな山崎は、投手も打席に立つ機会がある交流戦や日本シリーズでひときわ輝きを増す。それはオリックスから日本ハムに移籍した今季も変わらない。
打っても凄い“二刀流”
5月30日に甲子園で行われた阪神戦では、『6番・投手』で先発出場。甲子園は日大三高3年のセンバツで準優勝し、個人の大会最多タイの13安打という記録を残した場所。その舞台で、投げては7回3安打無失点でリーグトップの6勝目。そして打撃では、4回無死一、三塁の場面で西勇輝の高めの球を巧みにセンター前に運び、先制点を自ら叩き出した。
本当に楽しそうに、一塁ベース上で少年のような無邪気な笑顔でガッツポーズする姿は、この時期恒例となっている。
もちろん山崎の活躍は交流戦に限らない。特に今年は新天地で6勝1敗と5つの貯金を作り、昨年まで2年連続最下位だった日本ハムの上位進出に大きく貢献している。
元相棒が語る「サチさん」
オールスターゲームのファン投票中間発表(6月4日時点)では、2位の佐々木朗希(ロッテ)を大きく引き離し、堂々の先発投手部門1位だ。
そんな山崎の姿を「大活躍ですよね。なんか、イキイキされてますよね」と素直に喜んでいるのが、オリックスのブルペン捕手・稲富宏樹だ。
「今の時点で6勝というのはすごすぎて、圧倒されるんですけど、でもサチさんならそれぐらいはやるんだろうなという感じはありました。昨年までずっと捕らせてもらっていて、素晴らしいピッチャーだというのは僕自身感じていたので」
稲富は2018年に育成ドラフト1位でオリックスに入団。2021年に引退後はブルペン捕手として献身的にチームを支えている。
「稲富のせい」送り主は…
山崎福也からの信頼は特に厚く、良きパートナーだった。それは2022年まで2年間投手兼任コーチを務めた能見篤史も認めるほど。
昨年7月4日の楽天戦でのことだった。先発した山崎が、2回までに6点の援護をもらいながら、その後6点を奪われ、3回1/3で降板した。すると試合後、稲富のLINEに、親指を下に向けたブーイングの絵文字とともにこんなメッセージが送られてきた。
「稲富のせい 稲富のせい 稲富のせい」
送り主は能見だった。