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まさかの電撃休養「松井ライオンズ」とは何だったのか? “シーズン100敗ペース”低迷を招いた「新外国人問題」「現場とフロントのズレ」
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph byNanae Suzuki
posted2024/06/05 11:01
スター選手が満を持して指揮官となったが、青年監督として思わぬ辛酸を嘗める経験となった
5月26日、ベルーナドームを去る間際に最後の囲み取材で旧知の記者から「外国人選手も含め、戦力的にも苦しい戦いだったと思うが」と振られると、松井監督は頷いた。
「まあ、それはそれですね。現状の中で、どうマネジメントしていくかというところも含めてそうですし。若い選手が少しずつ成長してきているので、そこは非常にこれから楽しみなのかなという思いはあります」
戦力の厳しさを認めつつ、その上で自分の監督責任は受け止め、若手選手にチームの未来を託す――。
この言葉は、“松井ライオンズ”を最もよく表していたように感じる。
渡辺監督代行の言葉が示唆する2つの問題点
筆者は5月26日の就任会見で渡辺GM兼監督代行に「十分な戦力は供給できていたか」と質問すると、以下の答えが返ってきた。
「外国人にしても、なかなかうまく日本の野球にアジャストできなかったり、今ケガをしていたり(※ヘスス・アギラーが右足首痛で5月8日に登録抹消)、なかなか思っていたような実力を現時点では出してないと思っています。ただ残り100試合近くあるので、しっかり実力通りの力を出してほしい。今ファームで(フランチー・)コルデロは状態も上がってきていますし、アギラーもそんなに長く時間はかからないと思うので早く復帰してほしい。そうしないとシーズンが終わっちゃうので、頑張ってほしいと思います」
この回答には、今の西武の問題点が2つ潜んでいるように感じる。1つ目は、外国人打者に対する全般的な認識だ。
NPB経験がない外国人バッターの難しさ
近年、日本球界では新外国人打者がなかなか活躍できない状況が続いている。その一因とされるのが、日米で異なるストライクゾーンだ。アメリカや世界基準と比べ、日本は低めや両サイドを広めに取る一方、高めに厳しい傾向にある。