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松井稼頭央が何度も「あと1本が出ない…」打率ダントツ最下位、西武ライオンズ「若手打者が育っていない問題」 打撃コーチは「難しいこと言ってないので」
posted2024/06/05 11:02
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph by
JIJI PRESS
混迷する外野手争い
2019年を最後にリーグ優勝から遠ざかる西武だが、過去の実績ではパ・リーグ最多の優勝回数(23回)を誇っている。球団の伝統的な強みとして言われてきたのが、「スケールの大きな打者が育つ」ことだ。
近年で言えば浅村栄斗や秋山翔吾、山川穂高、森友哉らで、2018・19年に連覇した“山賊打線”の中心に座った。
だが、上記4人はいずれもフリーエージェント(FA)権を行使して退団。主力の流出は寂しい伝統である一方、誰かがいなくなれば穴を埋める者が出てくるという流れが近年途切れ、特に外野手のレギュラーは2019年オフに秋山が退団してから誰も獲りきれていないのが実情だ。
長続きしない、旬が短い
なぜ、西武の若手野手は伸び悩んでいるのか。球団の問題として、どんな背景があるのだろうか。
松井稼頭央監督が“電撃休養”し、代わりに指揮をとることになった渡辺久信GM兼監督代行に、5月26日の就任会見で尋ねた。
「球団としてというか、チャンスはみんな与えてもらっていますし。いいときもあるんですけど、それが長続きしない。旬が短いっていうか、なかなかそれでレギュラーを獲れないでいるのがここ数年続いていると思います。すごく能力を持った選手はいるので。プロ野球人生ってそんなに長くないので、しっかり自分を見つめ直してやっていってほしいなと思っています」
渡辺GM兼監督代行の回答が示唆するように、プロ野球選手は個人事業主であり、基本的には自分の努力で成り上がる世界だ。
若手選手が“育たなくなった”
西武は学生時代から決して有名ではなかった選手を獲得し、一流に育て上げてきた。そんな球団の伝統に沿ってレギュラーになった一人が、大学卒で現在10年目の外崎修汰である。
富士大学時代、野球の“流れ”を知らなかったという外崎は西武の選手を育て上げる土壌について、「縛りすぎないこと」と自著『マイペースでいいじゃん!』(ベースボール・マガジン社)でその特徴を語っている。