近鉄を過ぎ去ったトルネードBACK NUMBER

野茂英雄がバースデー完封勝利を目前に緊急降板…メジャー1年目の夏に始まった“爪問題”「割れた原因ですか? それは、僕が投手だからです」 

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喜瀬雅則

喜瀬雅則Masanori Kise

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photograph byKoji Asakura

posted2024/06/02 11:04

野茂英雄がバースデー完封勝利を目前に緊急降板…メジャー1年目の夏に始まった“爪問題”「割れた原因ですか? それは、僕が投手だからです」<Number Web> photograph by Koji Asakura

1995年、メジャー1年目から快進撃を続けた野茂英雄。しかし、完封目前だった8月31日のバースデー試合で急遽マウンドを降り…

 9月8日からのピッツバーグ、シカゴ、セントルイスへの長期遠征は、10日間で9試合をこなすハードスケジュールだ。メジャーの先発ローテーションは基本的に中4日で、通常のスケジュールなら、野茂は同10日のパイレーツ戦に先発する流れだが、そのピッツバーグでの3連戦の先発予定から、野茂の名前は消えていた。

「野茂の次の登板は、まだ分からないよ。ただ、次のピッツバーグの先発はない」

 投手コーチのデーブ・ウォーレスが教えてくれた3連戦の先発は、ラモン・マルチネス、ケビン・タパニ、トム・キャンディオッティだった。

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 野茂の“爪問題”を抱えての、長い旅の始まりだった。

 <初回とあわせてお読みください>

【つづきは7月11日に公開予定です】

#10に続く
野茂英雄が報道陣に「撮らないでください」メジャー1年目の夏に起きた異変…記者が見た“トルネードの焦燥”「もう説明を受けたでしょ?」
この連載の一覧を見る(#1〜14)
#14
野茂英雄に米スター選手が直接伝えた感謝「メジャーリーグはキミに救われた」…負けても称賛されたプレーオフの先発 「トルネード旋風」は何を残したか
#13
「野茂があんなに笑うなんて」野茂英雄がアメリカで初めて見せた表情…優勝決定の直前、“あの名医”が姿を現し「球速が約20キロ上がった」記者の証言
#12
ドジャースファンが絶不調・野茂英雄にブーイング、ラソーダは野茂を監督室に呼び寄せた…メジャー1年目の窮地に見た“ラソーダ監督の人心掌握術”
#11
ドジャースは野茂英雄のことばかり聞く日本メディアをどう受け入れた? 親日球団の原点…ラソーダ監督「センイチ・ホシノは俺のブラザーだ」
#10
野茂英雄が報道陣に「撮らないでください」メジャー1年目の夏に起きた異変…記者が見た“トルネードの焦燥”「もう説明を受けたでしょ?」
#9
野茂英雄がバースデー完封勝利を目前に緊急降板…メジャー1年目の夏に始まった“爪問題”「割れた原因ですか? それは、僕が投手だからです」
#8
ドジャース同僚がキャッチボールすら拒否、食堂も出禁…野茂英雄がメジャー1年目に経験した「スト破り選手の1軍昇格事件」
#7
野茂英雄のドジャース「トルネード旋風」を近鉄の同僚投手はどう見た?「自分は絶対通用せえへん」野茂に次ぐ“エース”がメジャーを目指さなかったワケ
#6
「今日のキャッシュより、明日の夢です」年俸1億円超え→任意引退を選んだ野茂英雄26歳のメジャー挑戦 近鉄同僚投手は「絶対やってくれると思っていた」
#5
野茂英雄は「もう日本に帰れない」「危険な賭けだ」メジャー挑戦表明に日本球界から悲観論が噴出…ドジャース・野茂フィーバー前史
#4
野茂英雄の会見直前、近鉄は球団旗を外した…「メジャー挑戦」電撃発表の舞台裏 記者が明かす「野茂と近鉄の視点は、完全に違っていた」
#3
「メジャーなんてありえない」が日本の常識でも…野茂英雄26歳は「メジャー挑戦の夢」を語り続けた 近鉄番記者が聞いた「野茂のホンネ」
#2
8回までノーノーでも交代指示、16四球で191球完投…野茂英雄「日本最後のシーズン」とは何だったのか「鈴木監督はそれでも期待を寄せていた」
#1
野茂英雄が監督と“衝突”「300球投げなアカン」「またそんな話ですか?」メジャー挑戦の1年前“近鉄で起きていた事件”「露骨にイヤな顔を…」

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