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なぜ2年間で8選手も…中日「ショート獲りすぎ問題」のナゾを追う 球団関係者「発端は立浪和義監督の“戦う顔をしていない”発言」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by(L)JIJI PRESS、(R)Hideki Sugiyama
posted2024/05/24 06:00
今季の中日でショートのレギュラーとなった村松開人(左)。近年、過剰なほどに多くのショートを獲得した立浪和義監督の思惑は…?
「この話を語るには、2016年のドラフトの京田陽太指名までさかのぼらないと、語れないと思います」
地元・名古屋の関係者は、そこから話を始めてくださった。
「その年、ドラゴンズはドラフト2位で京田を指名しています。長いこと、井端(弘和)、荒木(雅博)のコンビが二遊間を守ってきて、そのあと何年か外国人が守ったり、絶対的な存在がいませんでしたから、チームとしては念願のショートストップ誕生だったわけです。京田は1年目からレギュラーに定着して、新人王を獲得したりまあまあ順調でしたから、翌年から3年間、投手兼任だった根尾昂を除けば、中日はドラフトでショートを獲ってないんです」
京田遊撃手もよく頑張って、心身にものすごく大きな負担がかかるといわれる「遊撃手」のポジションで、ほぼフル出場してチームに貢献する。
「でも3年、4年が経ち……まあ、バッティングが頭打ちだったり、エラーが増えたりで、京田も徐々に精彩がなくなってきた。それで、2020年のドラフトで、3位に土田(龍空・近江高)を指名するんですね。はい、左打ちでスラッとしてて、スピードもあって。京田にちょっと似たタイプですね」
立浪監督就任で激化した「ショート争い」
その翌々年、2022年に立浪和義監督が就任。
そのあたりから、チームに小さな波が立ち始める。
シーズン当初からのバッティング不振と、コロナ感染で、京田選手に欠場が目立ち、ファームで伸びてきた土田龍空選手が「遊撃手」の定位置を占めるようになる。
「そこに、あの『京田は戦う顔をしていない』発言ですよ、立浪(和義)監督の」
もともとファイティング・スピリットがあまり表情や態度に出ないタイプの京田選手が、ファイターの立浪監督は少々物足りなかったのだろう。