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なぜ2年間で8選手も…中日「ショート獲りすぎ問題」のナゾを追う 球団関係者「発端は立浪和義監督の“戦う顔をしていない”発言」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by(L)JIJI PRESS、(R)Hideki Sugiyama
posted2024/05/24 06:00
今季の中日でショートのレギュラーとなった村松開人(左)。近年、過剰なほどに多くのショートを獲得した立浪和義監督の思惑は…?
「その発言で、急に京田放出の可能性が大きくなって、そうはいっても、土田一人にショートを任せられるかといえば、まだそこまでの信頼性はない。さあ、大変だとなって、ドラフトに『遊撃手』の名前がズラリと並んだわけです」
村松開人、濱将乃介、田中幹也、樋口正修……複数の遊撃手候補生がそろったタイミングで、京田陽太遊撃手の横浜DeNAへの移籍が決まった。
そして、昨季、2023年。
10人近い選手が代わるがわる守った「遊撃手」のポジション。
96試合と最も多く守った土田龍空が、打率は1割台。期待された村松開人は、右ひざの故障もあって、わずか30試合の出場に終わり、「ショートストップ」に台頭しそうな選手も見当たらない。
「それで、ショートがまた最重要補強ポイントになって、2位に津田、3位が辻本ですか。2人とも、アマチュア時代は、わかりやすいガッツと覇気が特徴のショートでしたから、京田を、戦う顔していないと評した立浪監督にはピッタリだと評価したのかもしれませんね」
結果として、今季、ここまで村松開人遊撃手が定着し、持ち味の天才的なジャストミート能力を発揮して、3割3分(5月21日現在)のハイアベレージをマーク。やはり、俊敏・華麗で正確なフィールディングに天才性を発揮する同期生・田中幹也二塁手との二遊間を構築している。
「なぜショートばかり獲るのか」という疑問
「ショートばっかりどうして? って、ファンの人たちは違和感を覚えるのかもしれませんけど、スカウトという立場から考えると、意外とそうでもないんですよ」
他球団のスカウトからは、そうした声も聞こえてきた。
「アマチュアで優秀なショートなら、例外なく、抜群の身体能力と野球センスを持ってますから、ショートとして使うためだけに、ショートを獲るわけじゃない。セカンド、サード……場合によっては、外野手として活躍しているケースも多いじゃないですか」