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なぜ2年間で8選手も…中日「ショート獲りすぎ問題」のナゾを追う 球団関係者「発端は立浪和義監督の“戦う顔をしていない”発言」
posted2024/05/24 06:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
(L)JIJI PRESS、(R)Hideki Sugiyama
昨年秋のドラフト会議直後、私はよく知らなかったのだが、野球ファンの間では、中日ドラゴンズの指名選手について、かなりの紛糾があったと聞いている。
「前年、2022年のドラフトで、『遊撃手』を4人も指名しておきながら、なぜ、今年『2023ドラフト』の2位指名、3位指名も『遊撃手』だったのか?」
「いったい、中日ドラゴンズのドラフト戦略は、こんなに行き当たりばったりでよいのだろうか」
そのような論調の発信があとを絶たず、一時はえらいことになっていたという。
そこで、どうしてそういう「混迷」のドラフトになったのか……関係者のみなさんに出来るだけその事情をお聞きしてみたので、その内容をつなぎ合わせて解説してみたい。
近年の中日「ショート候補」獲得は…2年間で8人!
ドラフトとは、つまり「人事」である。デリケートなテーマゆえ、事情の聞き取りは困難を極めた。
まず、状況説明から進めていこう。2022年ドラフト、中日は下記の「遊撃手」を指名した。
2位 村松 開人 明治大学・171cm80kg・右投左打
5位 濱 将乃介 日本海オセアンリーグ福井・181cm81kg・右投左打
6位 田中 幹也 亜細亜大学・166cm68kg・右投右打
育成 樋口 正修 BC埼玉・177cm75kg・右投左打
そしてその上、新外国人選手として、遊撃手が本職のオルランド・カリステ内野手を獲得。一気に、5人の遊撃手候補がチームに加入した。
そしてさらに昨年、2023年ドラフトでは、
2位 津田 啓史 三菱重工East・181cm88kg・右投右打
3位 辻本倫太郎 仙台大学・168cm73kg・右投右打
上位指名で、さらに2人の遊撃手を指名したから、ファンが騒ぐのもわからないでもない。ちなみにオフには阪神を戦力外となったユーティリティプレイヤーで遊撃も守る山本泰寛内野手も獲得している。
過去3年間のペナントレースで5位、最下位、最下位……低迷しているチームなのに、そんな偏ったことやっててよいのだろうか? と一部の熱心なファンたちから、憤怒の声が上がっていた。